【募集企画】神々の住む世界・弐【小説】

買い物・史解 博side ページ2

門を潜り、暫く歩くと町に出た。
　いつも此処は賑わっている。自慢の商品を紹介する人、それを見に集まる人々、泣いている子供、その子を慰める人、此処にいると自然と笑顔になる。そんな温かい場所なのだ、此処は。


「買うものは・・・・」


　僕の司っているものは記録、こんな風に思い出そうとする仕草は必要無いのだが人と長い付き合いをしてると自然と言ってしまう。言ってる方が気持ち良いので良いのだが。
　そんな事を考えてると目的の店まで来た、店の名は『白紙屋』、紙専門の店である。仕事で使う紙がきれてしまったので直接買いに来たのだ。
　書類の多い知ノ国の仕事では一日に使う紙の量が尋常ではなく、よく注意していないと極稀にこうして紙がきれてしまうのだ。
　今に始まった事ではないので心の中でも自分を叱りながら暖簾暖簾(のれん)を潜った。
　何故わざわざ紙を買いに出向いているのかと言うと、先程も言った様に知ノ国の仕事の量は他の国に比べて尋常ではないのにその殆どが紙を使用する、重要な書類も多いのでいい加減な紙を使用する訳にはいかないのだ。
　その為、紙専門の歴史あるこの店に出向いたのである。

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