いい匂い ページ4
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「ここがポルトパラディーゾ!!ふぉおおおおおお!」
綺麗に整備された街、立ち並ぶ美しい建物。そして、優しく咲き誇る花々。今まで様々な港町に行ったことがあるが、ポルトパラディーゾはそれらを軽く上回る程美しい街だった。
あたしは感動と興奮で甲板でぴょんぴょん飛び上がっていると、後ろから誰かに思いっきり頭叩かれた。
「痛っ!……って、ジャンジャン!」
「だからその呼び方やめろっつってるだろ!俺の名前はジャン・ジャックだ!というかエキュルさっきからうるせぇぞ!」
振り返ればそこには髭もじゃのおじいちゃん、ジャンジャンがいた。というかあたしよりジャンジャンの方がうるさいだろ。
「でもさ、やっぱりこんな綺麗な街見たら興奮しちゃうのも仕方ないでしょ?」
「まあ確かにそうだが……。お前、ちゃんとお宝探しするんだぞ?」
「ヨーホー!勿論だよ!」
「本当、お前とかラビットとか……アニマルズって言うんだったか?お前ら本当心配なんだよ!」
「おうおうおう、任せてくれたまえ、ジャンジャン君!」
「お前そろそろシバくぞ?とりあえずお宝探しは明日からだから、今日はゆっくり休め」
「はーい、じゃあラビットと遊んでくる!」
「だから!休めって言ってるだろ!!」
ジャンジャンの怒鳴り声をガン無視して、あたしは大好きなラビットを探しに行く。多分今だったらきっとあそこにいるはず。船内を猛ダッシュで駆け抜ける。途中何人かに「走るな!」とか怒られたけど、全然気にしない。あたしが予想した場所に行くと、どうやら正解だったようで、ラビットの声が聞こえてきた。
「マンマ!今日の夕飯はなんだ?」
「そうだね、今日は新鮮な食材も手に入ったことだし、明日からお宝探しだし、豪勢にステーキにしようかね?」
「肉!?よっしゃー!」
「勿論サンスプにはパプリカピーマンを作ってあげるよ!」
「本当かい!?嬉しいよい!」
キッチンに勢いよく入ると、マンマを挟んでラビットとサンスプがいた。テーブルの上には沢山の新鮮な野菜やお肉などが並べられていた。海の上では新鮮な食材など手に入らないので、すごく嬉しい。それになにか甘くて香ばしいいい匂いがする。
「あら、エキュルじゃない。ほら、いらっしゃい。クッキー焼いたんだよ」
お皿にはたくさんの美味しそうなクッキーが入っていた。どうやら三人でおやつタイムをしていたらしい。あたしは空いている椅子に腰掛けた。
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作者名:青狸 | 作成日時:2019年9月6日 18時