愉快な二人組 ページ11
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お昼ご飯を食べ終わると、途端に皆は食堂から出ていく。
「よーし！お腹いっぱい食べたし、また仕事に戻るぞ！マンマ、今日はお手伝いできなくてごめんな」
「いいんだよ。その代わりしっかり教えるんだよ、先輩」
チップはマンマに頭を下げると、あたしを連れてまた甲板へと戻った。
今度は帆の張り方のレクチャーで、チップに色々と指導されながら何度も帆を張ったり仕舞ったりしていると、何処からか視線を感じあたりを見回す。
「ん？A、どうしたんだ？」
「いや、あのね、さっきから視線感じるなーって……。あ、あそこだ！柱の裏！」
一番大きなマストの支柱の影から、こちらを覗く二つの頭。チップはすぐに正体が分かったのか、呆れた顔になる。
「ラビット！シャシャ！何してんだよ！」
「ひっ！見つからないようにしてたのに！」
「あたいはしっかり隠れてたよ！ラビットのせいだろ！？」
「どっちもバレバレだったよ！」
チップが怒鳴ると、柱の裏から青いターバンを巻いたモサモサ頭の男と、緑と青のターバン帽子を被った女がとぼとぼと出てきた。
「そんな怒んなくてもいいのになぁ」
「シャシャ達、別に悪い事してないよな？」
ラビットとシャシャは不満げに顔を見合わせたが、チップに睨まれ、拗ねたように口を尖らせて腕を組む。
「二人とも、ローズに買い出し言われてただろ！」
全然反省していない二人に、チップは身体を前のめりに怒鳴りつける。どうやら二人はサボりのようだ。
チップに言われて気づいたのか、一拍おいて、ラビットとシャシャは目と口を大きく開いて口の前に両手を当てる。そのままあたし達の方へジリジリとにじり寄ってきて。
「それはもういいから、買い出し行けって！だから、いっつもバルボッサに怒られるんだよ！」
二人の頭に、チップのチョップが落ちた。かなりの勢いだったので、とても痛そうだ。
「船長に怒られるのはやだな、うんうん。じゃあ、また後でな新入り！ほら、シャシャ、早く行くぞ！」
「ラビット待ってよ！」
愉快な二人組は慌ただしく船を降りると、あっという間に街の方へと消えていった。
というかあの二人だけでなく、船の皆が慌ただしく動いている気がする。
「なんか皆忙しそうだけど、何かあるの？」
「ああ、明日はここから出港だから、今日の夜は宴会なんだ！それに、Aの歓迎会も合わせてだからさ、皆色々準備してるんだよ。だから今日の夜はすっごいぞ！」
海賊の宴会、なんだか嫌な予感がする。
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作者名：青狸 | 作成日時：2019年8月31日 17時
