【募集企画】神々の住む世界・お花見編【小説】

楽しみな事・荒雪 充琉side ページ16

「うぉーー！スゲェな、これ！」

満開の桜が出迎えてくれる樹ノ国。

その桜の下で大きく腕を上げているのが、マジシャンとして世界中を旅する、荒燬 満珂。

隣で眩しそうに眼を細めているのが、雪ノ国の国長、荒雪 充琉である。

「ってか、なんで満珂と一緒に来ないといけないんだよ。」

「イイじゃん、こんな時にしか充琉と一緒にいる事ができないんだし。」

あまりにも嬉しそうな兄貴に、俺は短いため息をついた。

今日はお花見当日。色々な国から様々神が集う。ご馳走やもちろん満開の桜など、目玉は沢山あるが、何と言っても、毎年恒例行事の鬼ごっこが一番盛り上がりを見せる。

「今年は俺が鬼するんだ〜、充琉もやれば良かったのにさ。」

それは何としてでもお断りである。

俺は娯楽が何よりも大好きなのだが、どうせやるのなら全体を見る事ができる役回りが良い。
それに、俺は楽しむ神々の顔が見られたら充分だ。鬼をしたい奴もいるだろうし。

今年はどうなるのだろうか。鬼をやる奴はいつも変な奴ばかりだ。特に追いかける時の表情が凄い。

「兄貴、鬼の奴は集まれって。打ち合わせだと思うけど？」

「あ、マジで？じゃあ、行ってくる！」

さて、俺も雪ノ国の神たちと合流しようか。

自然と彼の顔には笑みがこぼれる。

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