【募集企画】神々の住む世界・壱【小説】

知ノ国の仕事事情・史解博side ページ35

史解博(ふみとく ひろい)

　博は蓮深の元、もとい職場に向かいながら思う。


(・・・今日も「無理」だろうか・・・・・・何を考えてるんだ、今日こそは・・・！)


　博は自分しか理解できないであろう内容の思考を巡らせながら歩いていると自分の職場が見えてきた。


「よし！」


　博は心の中に残る不安を振り払うように声を出し、笑顔で職場へ向かった。
　博の目に映った職場の姿は水のはった堀に囲まれ、建物は大きく、屋根は瓦で覆ってある。そう城である。


　博は城に着くと門番たちに通され大きな門をくぐる。暫く歩き仕事場に着くと部屋いっぱいに書類がある。知ノ国には芸術の道を志す者や新しいものを求めて訪れる者が多く、更に新しい分野で儲けようと起業する者が多いのでどうしてもこれだけの仕事が出るのだ。


　しかし博はまるで当たり前というように顔色一つ変えず筆を手にとった。そして一枚三秒も目を通さずハンコと筆を駆使して分別していく。それもその筈博は記録の神でこの手の事はお手の物なのだ。


　そして、二時間もしない内に三割以上は片付けてしまった。すると博は立ち上がり、仕事場のある建物を抜け、城下町へと降りていった。

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