近寄りたくても・深霊 ページ32
悩んだ末、深霊は人間界に行った。
ちょうど彼女が降り立った場所には深霊と同じくらいの見た目の子供たちが歌いながら遊んでいた。
か〜ごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面だ〜れ?
(楽しそうだな……)
近くに行こうとも思ったがやめた。
それは子供たちを危険な目にあわせるだけだからだ。
不幸を司る深霊は普通の人間や生き物達が傍にいると何もしなくても彼らが不幸な目にあってしまう。
(所詮私は疫病神……ずっと籠の中に閉じ込められたままがピッタリなのよ……振り返っても誰もいない……)
子供たちの歌う民謡が根強く耳に残る中、深霊はトボトボと帰り道を歩く。
日が沈み、辺りが暗くなった頃に目的の場所に辿りついた。
(相変わらず誰も来ないな……)
そこは山の奥深くにひっそりと佇む古い神社だった。
もうここには祀られる神もいないため実質はただのボロ屋だ。
腐って原型の留めぬ祭壇の近くに彼女は座った。
ふと顔を上げると神社のすぐそばで梅の花が咲き始めていた。
きっと、どこかの神が春の訪れを告げたのだろう。
(もうすぐ春か……そういえば人間たちが最近言ってる"おはなみ"って何なんだろう……今度、那呪浬に聞いてみよ……)
お腹も若干空いてきたが食べるものはない。
そのためなのか深霊はなかなか子供の姿からは成長していなかった。
(他の女神たちみたいに綺麗になりたいな……)
祭壇に置いてあるヒビの入った鏡を見た。
そこにはみすぼらしい姿の自分が写ってる。
ここまでくると悪霊たちのほうがまだマシに思えてきた。
(うわぁ……こりゃ流石に……服は欲しいけどどうやって手に入れようかな……)
今後の予定を考えながら深霊はその場に寝転がって瞼を閉じた。
14人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「募集企画」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘味雅 - 青狸さん» いえ!続編まで作ってもらいありがとうございます! (2016年6月11日 7時) (レス) id: 275a3f5788 (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 千秋会議の方も宜しくお願いします (2016年6月10日 22時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 畏まりました (2016年6月9日 19時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
とぅび(プロフ) - 了解でっす! (2016年6月9日 19時) (レス) id: 5f1530390f (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - とぅびさん» 続編に更新お願いします! (2016年6月9日 19時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ