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手持無沙汰・木花焔side ページ22

ひとり、とぼとぼと仕事場へ向かう。
時々聞こえる楽し気な声に足を止めてしまうけれど、着々と目的地へ近づいているはずだ。

やっと着いた仕事場。いつもなら、声が聞こえるはずなのに中からは何も聞こえない。
不思議に思いながらも、かららと扉を開ける。
「・・・、おはようございます」
案の定、中は誰もいなかった。想定内とは言えども、思わずため息が漏れてしまう。
きっと、煌菊さんはサボりで菜月さんは彼を探しに行ってくれているのだろう。菜月さんには文句は言えまい。でも、煌菊さんはあとでしっかりお説教をしなければ。
「さて。何しましょうか」
しかし、誰も居ないのでは仕事も何もできない。自分の席に腰掛けて何もない空間を見つめながら考える。誰か、手が空いている人を見つけて来るか、それともここでじっと待っているか・・・。
数秒考えて、「そういえば仕事はあっただろうか」と、家を出るときに持った疑問がまた浮かんできた。
そうだ、そもそも仕事などあっただろうか。いや、あった気もしなくはないけれど、自分の記憶などあてにならない。確認しなければ。

かたり、と席を離れて、予定が書かれているボードの前までやってくる。ボードに指を当て、今日の日付を探しながら、「ないといいな」と考えていた。
「今日は・・・。あ、これですね。えっと・・・」
見つけた今日の日付。そして隣に書いてある今日の仕事。・・・。どうやら今日は事務仕事のようだ。
事務仕事ならば一人でできないこともないけれど、やはり一人は寂しい。生憎、誰も居ないのだから少し外へ出てしまってもいいかもしれない、と悪い考えが頭を埋める。
「あー、どうしましょうか。誰か来てくれませんかね・・・」
自分の席に逆戻りして、また無を仰ぐ。すっかり何もする気がなくなってしまった。ただただ時間が過ぎていくのを、微かに聞こえる時計の秒針が教えてくれる。

しばらく何もせずにいたが、「待つだけなのは性に合わない」と席を立った。先ほど見たボードへ戻り、「自分のできることはないか」と探す。すると、月末に視察があるそうだ。
「あぁ、これやっちゃいましょう。面倒ですし」
これは、火ノ国を回り不備がないかを調べるだけの簡単そうな仕事なのだが、これが意外に面倒な仕事なのだ。まず、見回る順番を決めねばならない。そして、もし不備があったら改善策を考えねばならない。

どうにか書類を集め、席に着く。
「はぁ・・・」
またため息が漏れてしまった。

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甘味雅 - 青狸さん» いえ!続編まで作ってもらいありがとうございます! (2016年6月11日 7時) (レス) id: 275a3f5788 (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 千秋会議の方も宜しくお願いします (2016年6月10日 22時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 畏まりました (2016年6月9日 19時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
とぅび(プロフ) - 了解でっす! (2016年6月9日 19時) (レス) id: 5f1530390f (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - とぅびさん» 続編に更新お願いします! (2016年6月9日 19時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青狸 x他18人 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2016年5月8日 16時

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