【募集企画】神々の住む世界・壱【小説】

水ノ国の朝・河閖川side ページ11

僅かに光を感じ、むくりと身体を起こす。

川の表面は波打ってゆらゆらと揺れ、時折色とりどりの魚達がひょこりと顔を出す。


｢おはよう。今日も良い天気だね｣


足元に寄ってくる魚達の頭をそっと撫で、川の水に足を入れる。



今日も変わらず、穏やかな流れだ。

川は気まぐれに流れが急に速くなったりする訳ではない。

いつもいつも、穏やかにゆっくりと流れゆく。



思わず欠伸してしまいたくなるほどに。



｢さて…今日は何かする事あったかな…｣



そう呟くと、それと同時に細かい雨が降り出した。

上を見上げると、さっきまで青い空だったのが薄暗くなっているのが見えた。



＿＿＿＿まぁ、『雨』、となると…



｢…月、か｣



雨を降らせられるのは、月…ここ水ノ国の次長様しかいないでしょう。




暇だし、ちょっと散歩にでも行こうかな。

雨の日の散歩も悪くない。




すっと立ち上がって服を着、ぺたぺたと歩き出す。





俺は河閖川。

川を司る、水ノ国のもう一人の次長だ。

風の国の朝 設楽風馬side→←雪ノ国の朝・霜村真白side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す