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『行かなくちゃ…』
鉛が絡まっているみたいに動かない足。
＿＿＿＿ガッシャーン
『！』
だ、大丈夫源くん！？と先輩の慌ただしい声が聞こえる。
『………大丈夫ですか？』
私はその音と共にドアを開けた。
そこには頭からボウルを被り、床に座っている光がいた。
「ごめんね騒がしくて。片付け終わった？」
『はい、ごみ捨て行ってきます。…先輩をよろしく光。』
何がこんな気持ちにさせているのか分からない。
先輩の、光の目を見たらこの感情で自分の心が埋め尽くされてしまいそう…。
私は苦しさを悟られないよう家庭科室を出た。
自分の中で知らない感情がぐるぐると渦巻く。
私はまた自分が嫌いになっていく。
学園のゴミ捨て場は校舎裏のひとつだけ。
滅多に人は来ない、寂しい場所。
「………なにやってんのよA。」
『ヤコ…さん、』
そんな場所にひとり立っていたのはヤコさんだった。
「……なにがあったのよ。」
『わかん、ない……私、どうしたら……』
言葉にしゃくりが混じる。
「ゆっくりでいいから、話してみなさいよ。聞いてあげるから。」
私はヤコさんに今までの出来事を話した。
「………アンタ、好きなんじゃないの？あのガキのこと。」
『え、すっ！？//こ、光をですか…？』
ぶわっと顔に血が集まる。
「そうよ。嫉妬ってやつよ。」
『嫉妬…嫉妬ってこんなに苦しかったっけ…？』
私より頭のいいあの子、運動神経のいいあの子…
嫉妬なんて沢山してきたのに、こんなに追い詰められるものなの…？
「さぁね、相手によるんじゃない？アンタの場合は好きな相手だもの、涙が出るほど苦しいんじゃないの？」
『…私、やっぱり好きなんだ………、』
「自覚あったの？」
『…鈍感なか弱い女の子、なんて現実にはそうそういませんよ。』
「…………じゃあこれからどうすんのよ？」
シャランとヤコさんは耳につけた鈴を鳴らした。
『…どうもしません。私にできることはないので…』
「ふぅん…自分のやっと確信した気持ちを隠すなんて、勿体ないんじゃない？」
アタシはどっちでもいいと思うけどね、とヤコさんは言った。
『……気持ち伝えてみようかな…。その時はまた、相談してもいいですか？』
「当たり前でしょ。」
ヤコさんは優しく言った。
私はその言葉に背中を押され、家庭科室へ向かった。
来た時とは違い、心に余裕が出来ている気もする。
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ななサマ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございますゥ！ (9月10日 22時) (
レス) id: a5c87dadb9 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - めちゃめちゃ面白いです！これからも更新頑張ってください！ (9月10日 19時) (レス) @page12 id: 707eeda184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななサマ | 作成日時：2023年8月25日 17時
