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電話の音で目を覚ます。
ボーっとする頭を振り、時計を見た。
シン、、と静まる空間に
無機質な電話の音だけが響き
あぁ、きっとあなたは
ここから居なくなってしまったんだなーと
それが突然ふいにやってきた悲しい別れな気もするし
近いうちに来ると予感していた当たり前な別れな気もした。
プサンだなんだと甘い夢を見させておいて
結局、跡形もなく消えちゃうんだ。
ガチャ
「もしもし」
「A様おはようございます。
9時にご朝食をと承っておりますが、お持ちしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい、」
「それとお連れ様から延泊のご提案がありまして
A様がご希望でしたら、本日チェックアウト予定のそちらのお部屋で明日まで過ごしていただく事が可能です」
「え?、、あ、は、はい」
「ではごゆっくりと、素敵な週末をお過ごし下さいませ」
ガチャ
、、、、。
「ジミンさん」
何を考えているのか分からないよ。
別れの言葉もなく去って
高級なホテルで私をこんなに甘やかして
ピンポーン
「はぁい」
朝ご飯、かな?
「おはようございます。
ご朝食の用意をさせていただきます。」
「窓際の景色がよく見える場所にセッティングしますね!」
にこやかな女性がテキパキと準備を始める
あ、、朝ごはんってなに?
テーブルごと運んできたけど!??
「朝食と一緒にシャンパンもいかがですか?」
「え?朝から!?」
「お連れ様からお酒が好きと伺っております。
それから、素敵な週末になるようにサポートをと命じられておりますのでなんでもおっしゃってくださいね!」
「あはは
私、心配されてるんですかね?」
力なく笑ってみる
「大切に想われているんですね」
「違います。
きっと、もう会う事のない人ですから」
でも昨日の夜
互いに好きだと伝え合ったあの時間に
嘘はないと、思ったんだけどな。
「そんな事ないと思いますよ?」
「え?」
「これが、、」
、、、、
っっあ!!
手渡された小さなメモを握りしめて、膝から崩れ落ちる
心臓がバクバクと
爆発するんじゃないかってくらい早くなった
これはきっと、私とあなたを繋ぐ大切な大切な
読めないメモだ。
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作者名:めみ | 作成日時:2023年3月24日 20時