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苦いコーヒーを一口啜ってパソコンの画面を眺める
そんないつもの金曜の夜。
Aちゃんが帰ってから1時間。
もうすぐ22時になろうとしているのに
俺は全く捗らない仕事を、無理やり今進めるか、月曜の午前中にまわすか、ボーっと考えていた。
「おーい！なぁ、おーい？？起きてますかぁー」
「あ、あぁ、そんな大きい声出さなくても大丈夫だよ」
「だって純さぁ、今日珍しくボーっとしてね？」
「出張帰りで疲れてるんだよ、、
明日休みでよかった」
同期にも見抜かれてしまう程
ぼんやりしていた事が情けない。
昨日の夜
Aちゃんの部屋には多分、、
男がいたと思う。
そして今日のメモ
「ポゴシプタ」
この会社に入ってわりとすぐの頃
半年だけ行っていた韓国支店
その時に流行って、どこに行ってもかかっていたあの曲が頭のなかで流れた。
あの歌って踊るアイドルグループは世界中で人気なんだと女上司が興奮気味に話していたのを思い出す。
あれは何年前だっただろうか。
まぁ、そんなのはどうでもいい事で、、
俺の下手な嘘を一切、疑いもしない
純粋な部下は
今頃、韓国人の彼氏と高級なホテルで
仲良く過ごしているのだろうか。
「23時半、、、」
時計に目をやる。
そんなのメールで連絡すればいいのに
わざわざAちゃんの読めない字で
会社で調べなきゃならないタイミングで
手書きのメモを渡す男。
彼女の電話の最中に咳払いをする男。
まるで
こちらを見て挑発でもしているかのようだ。
まぁ、自分には関係ない
、と思いたいのに
今日1日そんな事ばかり考えている俺は
臆病で弱虫で嘘つきな男だ。
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作者名：めみ | 作成日時：2023年3月24日 20時
