予想外 ホークス's side ページ42
「は？Aさんが雄英に？」
「はい。一応彼女は雄英の卒業生ですので。しかも校内有数の成績優秀者にも入るほどの秀才だったとか。」
「は、はぁ…どうりで今日は有給のはずだ…」
「新人バイトにも有給をしっかりと支給する辺り、運営向いてますよ。」
「一昔前のブラック企業じゃないんですから。…でも、あまり聞いた事がなかったもので驚きました。」
「卒業生なことはご存知でしたよね？流石に。」
「実はそれも…」
「え、マジですか…？だって彼女は世間でも注目を浴びた“個性を使用せずに体育祭TOP3を3年連続勝ち取った逸材”ですよ？噂ではヒーロー科にしかない指名の制度を無理やり行使しようとしたプロも居たくらい…」
「初耳ですよ！？！？！？」
「…えぇ、」
もし目良さんの話が本当なのであれば、Aは会った時点から一般人では無い気がする…
「対人戦闘訓練の時に気が付きませんでした？なっていないと言いましたが、それは貴方相手にだけの話です。彼女の観察眼と洞察力は群を抜いています。恐らく貴方ほどの速さを持つ敵と対峙しない限りは困らないでしょうね。」
「そ、そうですか。」
やばい、これは…伸ばし甲斐がありそうだ。
確かに思い返してみれば動きはともかく反応は出来ていた。
恐らく技術面を磨けば伸びる。
それこそチャートTOP10入りも果たせる…？
か弱い女の子を無理やりヒーローにする事には少なからず抵抗があった。
実力が伴わない理想は自分にとって悪でしかないから。
でもAは違う。
現実を直視した上で自分の技術や人間性を鑑み、ヒーローという道を歩もうとしている。
やっとだ。やっと俺の迷いが晴れた。
絶対にエンデヴァーさん、そしてAと一緒にヒーロービルボードチャートJPTOP3を飾ってみせる。
たった今、俺に大きな夢ができた。
絶対に叶えてみせる。
恐らく雄英で楽しいひと時を過ごしているであろうAの姿を想像しながら、今度は乗り気で訓練用のプログラムを作っていく。
以前との意欲の差に空いた口か塞がらない目良さんを横目に、かなりハードだか実用性のあるプログラムを考え出した。
次からはずっと、俺も一緒に訓練を手伝う。
「前回の訓練で何か心変わりでもしましたか。次からのプログラム全てが貴方との対人戦闘訓練メインですが。」
「はい。俺に協力を依頼した以上は、俺の意見も取り入れてくれるんすよね？」
「…はは、私の睡眠時間に支障がないのであれば、構いません。」
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作者名：浦玖珂 咲希 | 作成日時：2023年4月3日 9時
