私からもプレゼント Your side ページ5
「ふわぁ、疲れたぁああ。」
「お疲れ様。今日は俺のくだらない自己満足に付き合ってくれてサンキュ。」
そう言って啓悟は机に突っ伏している私の頭をわしゃわしゃと撫で回す。
その行動は嬉しかった。
でも、「自己満足」という言葉は聞き捨てならない。
「自己満足じゃない。私もすっごく楽しかった。」
「ほ、ほんと！？」
見るからにパッと明るくなるその表情がどことなく幼さを感じさせる。
「ほんとだよ。あ、それとさ。」
「ん？」
「…これ。私からもプレゼント。」
机の足元に忍ばせておいた紙袋から、1つの小さな箱を取り出して啓悟に渡す。
中身は私が一目見て「啓悟に似合いそう」と思って即購入した物だ。
「…！これ、ブレスレット？凄い……綺麗か。」
「でしょ？デザインも服に合わせやすそうだし、何より啓悟に似合うと思って。」
「本当にありがとう…！一生大事にするたい！！」
「喜んで貰えたなら良かった！」
繊細な模様を成した銀色のチェーン、そして中心を飾るのは見る人全ての視線を一挙に吸い込むほど神秘的な漆黒色の石。
リビングの照明を反射して七色に輝くそれは、まるで魔力の篭った宝石だ。
「…こげん凄かもんは生まれて初めて見たばい。真っ黒やとに虹色に輝いとう。」
「でしょ？なんだか見ているだけで吸い込まれちゃいそうになるよね。」
「うん。よくこげんもん見つけたな。」
嬉しそうに手首に輝くブレスレットを眺めている啓悟を見ていると、私まで嬉しくなった。
「申し訳ない」と思ってしまいがちなプレゼントだけど、贈った側がこんなに嬉しい気持ちになるなら100万円だって
「もし会えない事が続いて寂しくなっても、これでお互い少しは寂しくないね！」
「…うん！」
私が啓悟にデパートで着けてもらったヘアピンを撫でながらそう言うと、啓悟も私があげたブレスレットを撫でながら頷いてくれた。
お互いの気持ちが篭ったプレゼント。
その中でも石は最適解だったと思う。我ながらナイスチョイス！
「よし、それじゃ一段落したし、お風呂でも入りますか。」
「あ！OK！じゃ俺一旦着替え取ってくるね。」
「はーい！」
まるで2人で同じ家に住んでいるみたいに行き来する。
こんな幸せな生活がずっと続けば良いのに。
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作者名：浦玖珂 咲希 | 作成日時：2023年4月3日 9時
