なぜか公安の最重要機密にされましたⅢ【ホークス】 (ページ22)

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お粥 Your side ページ22

「…あれ？」

目が覚めると外はもうすっかり夕方だった。

紅い斜陽が窓の隙間から差し込む。

朝の青さとは対照的な紅に、時間の流れを感じさせられた。

そうだ、啓悟はどうなっただろう。

隣に姿が無い。

ゆっくりとリビングの扉を開けると、炊きたてのご飯のような良い香りが流れ込んで来た。

キッチンに立っているのは啓悟。

しばらく無言でその様子を眺めていると、こちらに気づいた啓悟が駆け寄ってくる。

「啓悟！！元気になったの！！良かった…！！」

「あはは、この通り元気100倍！Aも起きたとか。看病ありがと！」

「いやいや！こちらこそ布団まで運んでくれてありがとう。」

「起きたら部屋の角で猫みたいになりよったけん、びっくりしたったい。」

「あはは、ごめんごめん。笑」

「もうすぐお粥ば出来るけん、そこ座って待っとり。」

「ほんと、何から何までありがとう。」

「よかよか！」

そう言って楽しそうにキッチンへ戻っていく啓悟の姿を見て、まるで夫婦みたいだなと嬉しくなってしまった。

「(…あ、後で“あの事”謝らないと。)」

そうこうしている内に10分ほどでお粥は出来上がった。

「いただきまーす！」

「召し上がれ。」

「ん！！美味しい！…ってかなんでお粥？」

「…いや、材料寝室に転がっとったけん…、作ろうとしてくれとったんかなって。やけん俺がご馳走したいと思ったったい。」

「あっ、そういえば放置しっぱなしだったかも。笑そういう事ね。嬉しい！」

「あと俺が食べたかったんもあるとよ。」

「なるほど！笑 …ところでさ、実は今日啓悟は有給ってことになってるんだよね、」

「え、」

「いやぁ…良くないのは分かってたけど連絡入れないのはダメだと思って、勝手にスマホ使っちゃった。」

「な、なるほど。それは色々お世話になりました……あれ、でも確か業務用にもパスコードば掛けとった気がするっちゃけど。」

「…あはは、実は……私の誕生日で試したら開いちゃったんだよね、」

「………あ。」

耳まで真っ赤になった啓悟と、多分目の前に座っている私もまた真っ赤になっていると思う。

2人揃って赤い顔で、真っ白なお粥が並べられた食卓を囲む。

こういう時間もたまにはあって良いのかもしれない。

たまたま今日が私の休日で良かった、そうつくづく思った今日この頃だった。