嫉妬されてる？ Your side ページ14
その人物は自転車に乗っている私の横を併走している。
妙に嫌な雰囲気を感じる。
右側は見ないように、少しスピードを上げる。
その声が今は嫌だと感じたから。
「……無視？それで逃げられるとでも思ったと？」
特徴的な声と博多弁。
あぁ、やっぱり啓悟だ。
でも雰囲気は本当にいつもの啓悟じゃない。
なんだかあのパーティーの夜や河内さんとの一件で感じた雰囲気と似ている…
話したくないのは山々だったが、同時に逃げ切ることなんて出来ないのは明白だった。
ゆっくりと減速してペダルから足を離す。
横に居る人影が風を斬る音がしなくなった。
「……啓悟、怒ってるよね…？」
「……やっぱりAには敵わんな。」
「……。」
「さっきのＮｏ.4のベストジーニストやろ？なんで一緒におった？しかも楽しそうに。」
その言葉を聞いて、今までの私なら困惑していただろう。
でもこの間のランチで友達が言っていた。
「男は嫉妬深いから、急に不機嫌になったり他の男のことを訊いてきたら確実に嫉妬だよ。」
その教えのお陰で、私は今なんて答えれば良いのか分かる。
「知り合いじゃないよ。たまたまスーパーで見かけて握手して貰ってただけ。」
「……いつの間にヒーローの事詳しくなったと？前までヒーローなんて全く知らんごと言っとったとに。」
「え〜っと、最近？」
「…ファンか？」
「うん。ベストジーニストさんは私の憧れだから。」
急に啓悟の表情が険しくなった。
「俺には憧れてくれんとね？」
「え、違う、そういう事じゃ…」
「Aの彼氏もヒーローたい。やのに他のヒーロー、ましてや男んこと見んで欲しか！」
「…ちょ、声大きいって…」
「え？ホークスやん！」「ほんとや！」「写真撮ってーー！」
「(……言わんこっちゃない。)」
「あー、すんません、今取り込み中なんでまた今度で。」
「えー！？」「珍しかね！」「そこに居るん彼女？」「え！？彼女！？」「どゆことホークス〜！」
「……っ、」
分かりやすく苛立ちを見せ始めた啓悟に少しヒヤヒヤする。
どうすればいいのだろうか……
そして分かってはいたが大人気だ…
人生に一度はファンに囲まれてみたいとか思っていたけど、これを見たらお腹いっぱい。やっぱりいいや。
……そうだ！
勝ち負け Your side→←推し！？ Your side
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作者名：浦玖珂 咲希 | 作成日時：2023年4月3日 9時
