26話 ページ27
楽しくご飯を食べていると、玄関で音がした
ガチャリと扉が開く音と、何かを引きずるような低くて重い音が微かに聞こえた
『?…何だろう?お客さんかな?』
「…」
『わたし見てくるね!』
「A、待って」
椅子を降りて玄関に向かおうとしたわたしは真剣な表情をしている父と母に止められた。
部屋のソファの側まで母に手を引かれる
『お母さん…?』
お父さんは片手をソファのすぐ横の床に当て、錬金術を使った
そこには、お母さんとお父さんが何かあったときのために作っておいた地下の隠し通路があった
床に通路につながる扉はなく、通るときに錬金術で作り、塞ぐのだ
父は床を開け、わたしをゆっくり通路に下ろした
『おと…うさん?』
「いいかA、通路の先は外に繋がっているから、とにかく進みなさい。絶対に、戻ってきてはダメだ。出たら、誰かに助けを求めなさい。」
『??え、なんで…?お父さんとお母さんも行かないの…?』
「Aはいい子だから大丈夫よ。大丈夫、ちゃんと後で迎えにいくわ」
『むっ、むりだよ…だって、真っ暗だよ…A何も見えないし、怖い…』
「大丈夫だよ、Aにはいつでもお父さんとお母さんがついてる」
そういって父はわたしの頭を撫で、ゆっくりとわたしの頭から手を離し、錬金術で床を塞いだ
床が塞がるとき、最後に愛おしそうにわたしを見る2人の顔が見えた
『ひっ…むりだよぉ…』
光は無くなり、いよいよ何も見えなくなった通路で、わたしは一歩も進むことができず、しゃがみこんで、ポロポロ涙をこぼした。
『うぅっ…』
そのとき、頭上で物音がした。
『お母さん…?お父さん…?』
ガタガタという音や、時々、グシャリという嫌な音も聞こえてきた
『なに…?』
しばらくして物音が止んだ
『おっお母さん!お父さん!!』
不安になったわたしは、恐怖で震える声で頭上に向かって叫んだ
そしてそのとき、何かが私の頰を掠めた
『ヒッ…』
頰から血がつたり、やっとそれが刃物だということがわかった
「ガキの声がしたような気がしたんだが気のせいか…?まぁいい、ガキの1人いたところで変わらねぇ」
わたしは腰を抜かしたが、慌てて暗い通路を訳もわからないまま泣きながら進んだ
身体中擦りむきながら、全く先が見えず、どこまで続くのか分からない道を、ひたすら進み続けた。
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紅赤傘(プロフ) - ひよこさん» おもしろいって言ってもらえて嬉しいです。これからもこの作品を宜しくお願いします! (2017年8月11日 14時) (レス) id: 719fa59023 (このIDを非表示/違反報告)
紅赤傘(プロフ) - 吸血蝶さん» わたしも両方好きです!ありがとうございます!これからも頑張ります。 (2017年8月11日 14時) (レス) id: 719fa59023 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 鋼錬とヒロアカが大好きで!この小説もすごくおもしろいです! 応援しています これからも頑張ってください (2017年8月8日 17時) (レス) id: 99ef6e2ea3 (このIDを非表示/違反報告)
吸血蝶 - とっても面白いです!!私ヒロアカも鋼錬も大好きで!!この小説大好きです!!これからも応援してます!! (2017年7月24日 20時) (レス) id: e29e369563 (このIDを非表示/違反報告)
紅赤傘(プロフ) - 詩音さん» ありがとうございます〜! (2017年7月24日 18時) (レス) id: 719fa59023 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅赤傘 | 作成日時:2017年1月31日 0時