《奏乃》笑顔《MAIDS AND WEAPONS後日譚》 ページ9
*
事務所のソファでひとり、スマホのカメラをインカメに設定し、強ばった表情を作る。
「ん……?どうした、奏乃」
「あ、く……草薙さん……ち、ちょっと笑顔の練習を……」
「笑顔の練習?」
「はい……」
なんで笑顔の練習を、と一瞬東矢は考えるも、すぐにあぁ、なるほどと納得したように声をあげる。
……奏乃は時々、「笑顔が怖い」と言われることがあるのだ。本人ではあまり気付いていなかったのだが、彼女のアンチが寄ってたかって、「怪しい笑顔だ」だの「何か企んでそう」だのと言うものだから、最近また気にしてしまっていた。
ついこの間も、潜入捜査としてやむを得ずメイドとして接客した際、どこかぎこちない笑みになってしまっていたのを、奏乃は自覚した。それで、今笑顔の練習をしているのだ。
「こんな怪しくて怖い笑顔だから……皆さんから嫌われるんですよね……」
「……言うほど怖いか……?少なくとも、奏乃の笑顔は優しくて可愛いと俺は思うが」
「あっ、そ……れは……だって……く……草薙さんの、前……ですから……多分、安心して……」
「っ……そ……うか……はは、それは嬉しいな……」
「…………」
「…………」
……沈黙が2人を包む。
「……あー、一緒に笑顔の練習……するか……?」
「あっ……は、はい……」
……その後、笑顔の2人の写真が柊真に送られ、たまたま一緒にいた美冬にクリティカルヒットしたのはまた別の話。
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