黎明の後日譚 (ページ3)

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《奏乃》貴方と紡ぐ幸せ《拝啓、不器用な貴方へ。後日譚》ページ3

*

「……奏乃」

「!……はい、なんですか、草薙さん」

背後から東矢に抱き締められ、少し驚きつつも優しく微笑み、受け止める。
自身を包み込むこの体温が、とても心地よい。
こんな幸せが永遠に続けば良いのに……なんて考えが頭に過ぎる。いやいや、と軽く頭を横に振り、それ以上考えないようにする。
……あんな事に巻き込まれるのは、もう懲り懲りだ。

「どうした、奏乃」

「い、いえ……なんでもないです」

「……そうか……なぁ、こっち向いてくれないか?」

「はい、良いですよ……っん、む……っ!?」

振り返るのとほぼ同時に、奏乃の唇に熱が伝わる。
即座に自分が何をされたのか、そしてどうすれば良いのかを理解する事が出来ず、ただその柔らかな春の日差しのような熱を受け止めることしか出来なかった。

「ん……っ、ふは……可愛いな……」

「っ……もう……」

優しく笑う彼が愛おしくて堪らなく、顔を赤らめて彼の胸に顔を埋める。

「……幸せ、だな」

「……そうですね、幸せです……」

「ははっ……奏乃……愛してるぞ」

「……っ……私も……大好きですよ、草薙さん……」

今回の件で、奏乃は実感した。
自分の幸せは、誰かに作られて成立するようなものではない。
自分の幸せは、自ら作るものなのだ。
……そして……2人の幸せは、2人で作り上げ、紡ぐもの。

……さぁ、これからどんな幸せを貴方と紡ごうか。