《羊》今夜はカレーを《とにかくカレーが食べたいんだっ!後日譚》 ページ16
*
ここは羊の仕事場であり、「お嬢様」の屋敷であった。
3階建ての小ぶりな城のような屋敷には、そのお嬢様と羊の2人だけが暮らしていた。
そうして彼は、今日も仕事をこなしていく……。
「お嬢様、食事のお時間です」
「ん、今日は何?」
「はい。シーフードカレーでございます」
「シーフードカレー?冗談も程々にしてちょうだいな。そんな庶民の食うようなもの……」
そう言って、お嬢様は顔を顰める。しかし、羊は食い下がらなかった。
「お嬢様、そう言わず一口だけでも」
「はぁ?お前がそんなに勧めるとは珍しい……はぁ……一口だけだぞ。不味かったらお前の首を切るからな」
「サラッと怖いこと言わないで下さいお嬢様」
そう言いながら、お嬢様の前にシーフードカレーを置き、スプーンを用意する羊。
お嬢様は、ため息をつきながらスプーンを手に取る。
「全く……こんなもの。どうせならビーフストロガノフが良かった……いただきます……」
「(とか言いつつちゃんといただきます言うんだよなーコイツ)」
頬杖をつきながら、お嬢様の食べる姿を見続ける羊。
お嬢様はと言うと、確かに一口だけと言ったはずなのに黙々と食べ進める。
気付くと、その皿の上には何も乗っていない状態になっていた。
「……どうでしょうか、お嬢様」
「……だ」
「はい?」
「おかわりだ、と言っている。もっと食わせろ。さもなくばお前の首を切る」
「はぁ……素直に美味しかった、と言えばいいのに」
「うるさいぞ志辻野。口でなく手を動かせ」
「はいはい。分かりましたよお嬢様」
……その後、羊は自分の食べる分までお嬢様に食い尽くされることになるのだった。
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