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《透空》気のせい……?《さいきょうにしろいへや後日譚》 ページ15

*




……あのおかしな夢から3日が経った。今日は彼の王座防衛戦がある日であった。

未だ楽屋でダンベルを使い簡易的なトレーニングをする透空に、既に試合を終えた後輩のレスラーが透空に話しかける。



「はぁっ、はぁっ、そろそろっすね、風見さん!!ベルト防衛、頑張って下さい!!」

「ん、お疲れ様。そうだね……この試合勝てたら……確か2回防衛したことになるのかな」

「もー、3回っすよ風見さん!」

「あれ、そうだっけ。あはは……」


疲れてるんじゃないですかー、と冗談めかして笑う後輩レスラーに、透空は苦笑いを返す事しか出来なかった。
あの夢のせいでなかなかぐっすり眠れず、疲れが溜まっていたのだろう。……枕元に置いていたサングラスのせいとも言えるが。

そんなことを考えていると、会場スタッフから「風見さん、そろそろ出番です。準備をお願いします」と声がかかる。


「あぁ、もう僕の出番か。行ってくるね」

「はい!応援してますね!!」


彼の象徴でもあるヒーローのような蒼いマントを羽織り、黄金に光るベルトを肩に担いで入場する。
聞きなれた自身の入場曲に合わせ、手拍子が、声援が飛び交う。
中には自身の顔がプリントされたTシャツを着ていたり、自作のうちわを掲げる者もいる。


そんな中、夢の中で出会った茶髪の女性にそっくりな女性と目が合う。女性は透空を見つけると、嬉しそうな笑顔でブンブンと手を振る。



「…………」



手を振り返すことも、笑いかけることもできず、彼はそのままリングへと向かう。

……多分、似てるだけだ。そうだ。気のせいなんだ。
そう自分に言い聞かせながら、ゴングの合図で対戦相手と取っ組み合いを始めた。





ちなみにだが試合には勝てた。マイクパフォーマンスではすごい噛んだ。

《羊》今夜はカレーを《とにかくカレーが食べたいんだっ!後日譚》→←《希々子》この夢よ、どうか覚めないで《虐殺アイドラトリー後日譚》



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作者名:イカノシヲカラ | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年6月7日 23時

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