《希々子》この夢よ、どうか覚めないで《虐殺アイドラトリー後日譚》 ページ14
*
「……私が、アイドル……ですかぁ〜?」
……正直最初は気が乗らなかった。でも、人気になればもっとお金が貰えて、いっぱいゴスロリやブランド品も買えると考えた瞬間、やるしかないな、とも思った。
元々私は別にアイドルになりたい訳ではなかった。どちらかというと……お姫様に憧れていた。
遠い昔に読んだ白雪姫の物語は、今も私の心に残っている。
世界で一番美しく、みんなから愛され、一度毒林檎で眠らされても真実の愛のキスで目覚める、そんな幸せな物語。
憧れる反面、お姫様なんて私には無理だと思った。
銭ゲバな癖に浪費癖なところも、嘘つきなところも、全部全部お姫様にはあってはならないと分かっていた。それに……殺人鬼がお姫様なんかなれる訳がないでしょう?
……それでも。お姫様になれなくても、アイドルをしていくうちに、いつかお姫様のような待遇をされるかもしれない。そんな淡い期待を手に、私は芸能界に足を踏み入れた。
……数年の時を経て、私は……いや、私達「プロメテウス・トゥインクル」は二大トップアイドルと呼ばれる程にまで人気を集めた。
いつも笑顔でみんなを元気にしてくれる鈴音ちゃん、ちょっぴりツンデレだけど優しい玲ちゃん、そしてドジっ子ではあるけれど、誰よりも私達のことを考えてくれる雛ちゃん。
この仲間たちと一緒なら、どんな困難も乗り越えられると思った。……まぁ実際、今まさに乗り越えている最中のようなものなのだけれども。
思い描いた生活では無いとしても、こうやってみんなと一緒にいられて、私は本当に幸せ者だと、心から思う。
まだ、目覚めのキスはいらないわ」
今はただ……この優しい夢に浸っていたいから。
《透空》気のせい……?《さいきょうにしろいへや後日譚》→←《カラ(?)》メンタルブレイク《キルキルイキル後日譚》
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ