永遠の夜明けのアパートは。 (ページ35)

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節分ページ35

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「節分って他の行事に比べたらなーんか影薄くない?」

「おーおーいきなり尖った事言いやがるじゃねぇか赤目」

ボリボリと節分の豆を食べながら過ごす一同に、虚ろな目をした──彼女の目はいつも死んだ魚の目だが──ホナツが問いかけた。

「そうですか?でも子供の頃は良くやりましたよ、鬼は外ー、福は内ーって」

「最近の子ってあんま豆まきしないらしいよ?」

「辛うじて恵方巻きの代わりにロー●ちゃん食べるくらいじゃないのー?」

「おいこらなまえをだすでない」

ボリボリ、ボリボリ、とそんな会話と共に流れる咀嚼音。既に全員歳の数以上は食べているだろう(一部天使を除いて)。

「じゃあどうしたら節分って目立つのよ。前には正月、後ろにはバレンタインって勝ち目ないじゃない」

「まァワスれてるヤツもいるよナ。ジッサイボクもワスれてた」

「……どうしてもバレンタインを優先してしまう気がしますね……」

「ゆるキャラでも作ったらいいんじゃないのー?」

「ゆるキャラぁ?」

「ほら、こう言う感じのー」

そう言ってPが出したフリップには、こんなイラストが描かれていた。

「可愛いでしょー」

「可哀想!!」

「ﾕﾙｼﾃって言ってるんですから許すって選択肢はないんですか!?」

「でも許したらコイツら人食うよー」

「バイオレンスだなぁおい!!」

「節分は人間を超えないといけない時があります」

「バイオレンスって普通に、バイオレンス、とかバイオレンスじゃなくて〜」

「ヴァイオレェェンスって言ってる場合か」

「もうせつぶんなんのかんけいもないんじゃが」

そうしてまた、彼女達は変わらぬ日常を送る。
……たった一人、庭におぞましい量の柊鰯を生成する管理人を除いて。