爆弾魔現る ページ29
*
なんてことない、平和な日だった。
アパートの管理人、イカノが裏庭の低木の手入れをしていた時のこと。突如小さな爆発音が、アパートの入口の方から聞こえてきたのだ。
「んわっ!?な、なになに!?急襲!?」
急いで魔法陣を使い、入口の方へ向かうと、そこには小柄な黒い服の男性が立っていた。
魔法陣からイカノが出てくるのを確認した男性は、嬉しそうに声を挙げる。
「あ!君が黎明アパートの管理人さん?」
「そうだけd……じゃなかった、そうですが?」
「んじゃあ僕のこと知ってる?」
「……そりゃあ創造主ですし。もちろん存じ上げておりますよ、天才画家の焔ヶ原 弾さん?」
「さっすがー!」
弾と呼ばれた男性は、ひゅーひゅー、と口笛を吹いてイカノを囃し立てる。
そんな彼を見て、面倒くさそうに頭を搔くイカノ。
「……で、どのようなご要件で?」
「そりゃもちろん決まってるじゃん。ここに住みたいんだよ」
「……はぁ……構いませんが、ここには血の気の多い奴が多いですよ?あなたみたいな界隈で一部のものに大人気〜なんて人がもし怪我でもしたら……いや、怪我だけじゃすまない。下手したr」
「大丈夫だよ、僕天才だし最強だもん」
にやり、と不敵な笑みを浮かべ、小型爆弾をボールのように扱う弾。イカノはそんな弾に呆れたのか、それとも折れたのかは定かでは無いが、ペンとバインダーを取り出して彼に渡す。
「はー……了解致しました。ではこちらの用紙にお名前をどうぞ」
「あざーっす」
爆発で荒れた手でペンを自在に操り、鼻歌を歌いながら名前を書き、バインダーを渡す。
それを確認し、小さな時計のついた鍵を渡す。
「焔ヶ原 弾さん……ですね。ではこちらがあなたの部屋である107号室の鍵になります。黎明アパートでの生活を、どうぞ心ゆくまでお楽しみ下さいませ……」
「さんきゅっ!あははっ、どんな人に会えるかなぁ〜、ちょー楽しみ!」
スキップをしながらアパートに入っていく弾。それを見守りつつ、また裏庭に戻るイカノだった。
先程よりも大きな爆発が起こり、ブチ切れながら弾を追いかけ回したイカノがいたのはまた別の話。
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イカノシヲカラ@企画主催中(プロフ) - 黒乃フィルさん» 可哀想な子って可愛いからね、うん() (2023年2月21日 21時) (レス) id: 23a9d9ad0e (このIDを非表示/違反報告)
黒乃フィル(プロフ) - 確固たる意志…()奏乃…強く生きろよ((((((((((((( (2023年2月21日 21時) (レス) id: 1690a91c12 (このIDを非表示/違反報告)
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