ほら、約束は破るためにあるって言うじゃん? ページ12
*
「……では学校行ってきますが……くれぐれも家の物を壊したりしないように。良いですかホナツさん?」
「なんで私なのよ」
「前科がありますので」
「ゼンカ?」
「あー……レイジーちゃんがここに来る前の話だよ」
……そう、それはまだレイジーが来る前……そして、奏乃がこのアパートに来て3日後の、ある雨の日の昼下がりの話だった。
「じゃあ、晩御飯の材料買いに行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
いくら問題児達であれど、私よりも年上。ある程度の常識は弁えているだろう。
そう考えていた頃が、彼女にはあった。
……しかし、奏乃は彼女達を舐めていた。
「な、なんですかこれ……!?」
「あ、やば」
奏乃が目の当たりにしたのは、切り傷でボロボロになった共同スペース、割れた窓ガラス、そして謎の糸でぐるぐる巻きにされたホナツと、宙に浮きながらチョコチップクッキーを頬張るPの姿だった。
「問題児だらけだけどよろしくねー!」
そういい、ヘラヘラと自室の鍵を渡してくる
確かに問題児だ。それも、自分より年上でありさらに自分より遥かに力を持った、最悪なタイプの。
「はぁ……“repair”」
奏乃がため息をつき、修復魔法の詠唱をする。すると、今までボロボロだった共同スペースは、瞬く間に元通りになった。
「おー、すごいわね。アンタの魔法」
「ふむ。この感じだったら、いくら傷つけても元通りにしてくれそうだね、オリジナル」
「そうね。また手合わせしましょ」
「手合わせっていうか一方的にオリジナルがやってただけだけどねー」
「まぁ良いじゃないの。じゃあ奏乃、早く飯作って……」
「いやなんでまたやるみたいな雰囲気醸し出してるんですか!?!?!?」
「_てなことがあったって訳」
「それはキレてもイイと思うゾエセ闇女」
「エセ闇女!?」
「さ、さすがにもうそんな事はしないわよ。それに、約束したもん。ねー奏乃」
「……まぁ、しましたよ」
「だから大丈夫!安心して学校行きなさい!!」
「はぁ……じゃあ、行ってきます」
パタン、と扉が閉じる音がする。
……やはり、奏乃は舐めている。否、甘すぎる。
「ボクも手合わせやりたーい♡」
「もちろん。楽しみましょ!!」
「わたし寝よーっと」
そもそも、彼女達は_厳密にはホナツは、約束を守れるほどの常識を持ち合わせてはいなかった。
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イカノシヲカラ@企画主催中(プロフ) - 黒乃フィルさん» 可哀想な子って可愛いからね、うん() (2023年2月21日 21時) (レス) id: 23a9d9ad0e (このIDを非表示/違反報告)
黒乃フィル(プロフ) - 確固たる意志…()奏乃…強く生きろよ((((((((((((( (2023年2月21日 21時) (レス) id: 1690a91c12 (このIDを非表示/違反報告)
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