End of Line 2 【登坂広臣】 (ページ10)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:78,498 hit

60 ページ10

…

「ちょっと。なにやってんの岩ちゃん」

みんなをかき分けて、私の横に立ったおみくん

メイクが終わったみたい
さっきより少しだけ目とか口元に色がある

綺麗な横顔…

ちょっとほっとした
やっぱりまだ苦手意識が消えてないから

『おみくん…』

「遅くなってごめん」

大丈夫？

サラリと撫でられたのが心地よくて
その手に擦り寄った

おみくんの手安心する…

「簡単には落ちへんゆうことや」

「岩ちゃん不発だね笑」

「あっちゃー笑」

なんて話してる3人は
口角が落ちちゃうくらいニコニコしてる

直人さんと直己さんはおみくんとわたしを交互に見て、満面の笑みだし。

「…やられた」

『…なにを？』

あーって天井をみあげた

心なしか耳が赤い…？

「岩ちゃんにしてやられた」

拗ねてるけど笑ってて
視線の先にいる岩田さんはペロって舌を出した

あざとい…！

「撮影はじまるぞー」

手を振ったマネージャーさんが奥に見えた

みんなが、ゆっくりと腰を上げた
さっきと表情が少し変わったように感じる

「蘭堂さん、雑誌の撮影は初めて？」

『誰かのを見るのは初めてです』

「そっか～
ちょっとだけ刺激的だけど楽しんでいってね」

刺激的…？

ぐふぐふ笑った直人さんが
みんなの輪に戻って行った

そう言えば心なしかみんなボタンいっぱい開いてる気がする…

すると、交代でおみくんがツカツカと歩いてきた

「 A 」

『？』

ゆっくりと前にしゃがんで、私の手を取った

おみくんの服も
胸元が少し広く開いていてドキリと胸が鳴る

「…どう？」

ちょっと恥ずかしそうに目を逸らした

服のこと、かな？

『おみくんがいちばんカッコイイね』

ボーカルなのに、
空いた胸元からみえる胸筋が純粋にすごいと思った。

それに首筋とか鎖骨とか。

「他のやつ見なくていいから」

『？』

「俺だけ見てて」

耳元に寄せられた口から

堪らなくなっちゃう声で呟かれた言葉が
甘くわたしを溶かす

『…っ、うん』

ポンポンと頭を撫でて、
スタジオの中央に戻って行った

こんなになって

わたしは、一夜の思い出って本当に割り切れるの？

おみくんが

私以外の女の子に同じように

呟いて

頭を撫でて

キスをして

黙っていられるのかな

…