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もっと、こう

かわいいコロンってした車に乗ってるのかと思った



駐車場に止まってる軽とかを通り過ぎて、その奥にある少しクールめな車の前で止まった








『後部座席だよね』









はいっと当たり前のように開けられた後部座席のドア

本当は助手席に座りたいけど…
ガマン。








「この車、Aが選んだの?」









遠回しに

誰から貰ったの?
誰の好み?


見えない相手に牽制してしまう









『…ううん、違う』









ぎゅってハンドルを握って
真っ直ぐに前を見すえるその目は、すこし弱い

Aの中に、俺の知らない話がたくさん詰まってんだろうな…









「…そっかー」



『なあに?』









バックミラー越しに、やっと目があった


ちゃっとぶすくれてる俺を見て
可笑しそうに笑ってる









『弟が乗ってた車だよ。


プレゼントした。』




「弟?」



『そう。シュウって言うの』









シュウ…


あの時、Aが読んだ名前は弟だったんだ









「そうだったんだ。シュウさんは実家にいんの?」





『…うん、そうだよ』









酷く苦しそうな顔に

これは、俺じゃ簡単に踏み込めない範囲の話だ




そう納得して

この話は終わりになった









.
.
.








「すみません!本当にありがとうございました!」







俺の背中をバシって叩いて
めちゃくちゃ頭を下げてるのは俺らのマネージャー

もちろん俺だって頭下げてるけど。







『そんなそんな… 』








それにつられるようにAも頭を下げるから、周りからの注目を集めちゃってる。








「登坂、朝飯は」


「Aが飯作ってくれた」


「もー!ご飯までー!」


『いやもう全然大丈夫なんです本当に!
頭をあげてくださいっ…!』









Aの飯、美味かったな〜

俺もなんか作ってあげてーかも。









「看病とか飯作ったり服洗ったり



本当にありがとう」








『ううん。

… こちらこそだよ




ありがとう』









俺、お礼言われることなんか出来たかな

ちゃっと頭にハテナが浮かぶけど
Aがそう言ってくれんなら受け取りたい









『それじゃあ私はこれで…』



「え?見てかないの?撮影」



『え?』



「お席用意できるので、是非見ていきませんか?」









オロオロしてるAを連れて
そのまま現場入り


ナイス

マネージャー








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作者名:miu:miku | 作成日時:2020年9月15日 22時

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