End of Line 【登坂広臣】 (ページ7)

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…

『ッ…勝手に、使用してしまい

申し訳ありませんでした… 』

ぎこちなく、頭を下げて
さりげなく手を振り払おうとするけど、一向に離して貰えない

冷や汗が出てきたがするし、
なにこれ。握られた手に心臓が移動した？

「名前」

… 名前？

ゆっくりと顔を上げたら、変装セットを解いたさっきの人が思ったよりも近い距離に立っていた

「覚えてください。登坂広臣です」

『……はい』

鋭い目に見られてしまうと、蛇に睨まれた蛙ように動けなくなってしまう

「俺の名前は？」

『ぇ、っと… とさか、ひろおみ、さん、です…』

「ふっ、うん。」

「俺、実は蘭堂さんのお店、通ってました」

『え！？』

「ふふ、今度行った時、こえかけますね」

『あ、はい…よろしくお願いします』

ふわりと、優しく笑った登坂さんの笑顔に

久しく動かなかった心臓が、小さく音をたてた

「おみー？もういっちゃうよー？」

もーって行って、その奥のドアからもうひとり入ってきた人。

そして私を見てフリーズ

「え？！」

「ちょ、りゅーじ、しーっ笑」

「あっ！」

りゅーじ

この人は、りゅーじというらしい。
サングラスの奥の瞳は伺えないけど、考えてることが口からもれだしてる

「あれ？テツヤさんの…」

『…道に迷って、しまって、
ここにたどり着いた所を、登坂さんに助けていただきました。

ご迷惑お掛けして申し訳ありません、失礼します』

「お、おぉ…」

登坂さんに掴まれていた手を静かに解き、一息に答えた。びっくりしてるりゅーじさんの隣をすり抜け、その空間から抜け出した

ちょうどいいタイミングで来ていた、エレベーターに飛び乗り、ボタンを連打し扉を閉めた

『……』

とんでもないことをした…

そう実感しはじめたら、止まってた冷や汗をどっとかきはじめて、指先はヒンヤリとしていた

…