End of Line 【登坂広臣】 (ページ34)

今日:4 hit、昨日:21 hit、合計:162,240 hit

34 ページ34

＊＊＊

『え！そんなことしてるの？笑』

「そう！直人さんがマネージャーさんとスピーカーもって、爆音で音楽かけながら仕掛けるドッキリみたいなやつしてる笑」

『なにそれ～！笑』

お互いのこと知らないねって話から、

昨日今日の話
メンバーの中で最近はやってる事

色んな話をした

自分の事のように聞いてくれて、相槌までしてくれて。聞き上だよなー…

『おかわり、する？』

ほとんど無くなった緑茶

こんなことにまで気づけるAは完璧すぎなんじゃない？

お願いしますって言ったら、待っててねってカウンターの奥に入っていった

ゆっくりと店内を見回すと所々にクマが置いてあるから、無邪気なAっぽいお店だなんて考えていたら、すぐに戻ってきた

『臣くんは、… 歌うの、すき？』

緑茶が注がれるグラスと氷のぶつかる音が、静かな店内に響いた

まえに、俺が似たようなこと聞いたな

「うん。好きだよ」

でも、365日 24時間

常に100%で好きなわけじゃないけどね

なんて付け加えたら、ずっと手元にあった顔が、やっと俺を向いた

『ファンの人たちは？』

コトリと前に置かれたグラスを
ついていた水滴がゆっくりと流れる

「…同じくらい大切。

せめて応援してくれる人だけでも幸せにしたいって思ってる」

Aは、俺の目をまっすぐみたまま話を聞いていた

けど、言い終わる頃には
大きな目に薄い涙の膜が張っていた

『っ、そか』

「…A？」

カウンターに置かれた手にそっと触れた
指先がすげぇ冷えてる

緊張、させてるかもしれない…

『… 』

ヒロさんと、Aが話すところをみて、何かそんなことがあるんじゃないかと思ってたけど

まさか、本当にそんなことがあったなんて。
でもあの歌声は既に原石のレベルじゃなかった。

『アングレカム、って知ってる？』

「えっ、… 」

顔を見せない、歌姫って呼ばれてたアーティスト
3年ほど前に姿を見せなくなって、事務所を退社したことが取り上げられた1台ニュースになってた

だから、聞いたことがあったんだ…

『アングレカムは、ラン科の1種で

花言葉は、祈り

天使のような歌声で祈るように歌うから、天使の祈り』

…