End of Line 【登坂広臣】 (ページ32)

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クローズしてから、店内はシーリングライトの明かりだけに。

BGMも消してしまったから、ホウキが床を滑る音が響いていた

壱馬が帰ってから、お客様は3名だけ。

それでも全部出てしまったスイーツショーケースをみると、少し誇らしい

prrr…

テーブルで震える携帯を手に取った

そっとみてみると、それは待ってた人から。

『もしもしっ』

「もしもし、登坂です」

『はい。蘭堂です』

ふふって笑い声がしたから、私の弾んだ声もきっとバレちゃってるんだろうな

「夕ご飯、食べた？」

『まだっ。いまお店閉めて、掃き掃除してるよ』

「そっか」

『臣くんは、クールダウンは済んだの？』

「うん。終わらせたよ」

『ライブ、お疲れ様でした』

「ふっ、ありがとうございます」

優しい声は、電話からも届いてきてふわりと胸の中に広がった。

「あのさ、よかったらご飯、行きませんか？」

なんで敬語なの？

そんな事は飲み込んで、

『ぜひ一緒に行きたいです』

「…ほんと？」

『うんっ臣くんとご飯行きたい』

「何か食べたいのある？」

『んん、ハンバーグ』

「いいね。準備、どんくらいでできる？」

『…30分くらい！』

「じゃあ余裕もって40分後に、店の前に迎えいくね」

『分かった。ありがとう』

電話を切ったあとの画面を見て、赤い顔をしてる自分に気づいて、この後が持つか不安になった。

はやく家に行こう…

ほぼ終わっていた掃き掃除を済ませて、お店に鍵を閉めた。

.
.
.

鏡の前で、ひとりファッションショー

これがいいかな

いやこっち？

お気に入りの白いワンピースはこの前着てたし、薄い色のやつはハンバーグがはねたらこまるし…

もっとかわいい食べ物あげればよかった

『だって、ハンバーグ好きなんだもん…』

仕方ないよって言い聞かせて、身だしなみを整えた。

お出かけすることが少ないから、あまり付けていなかったけどアクセサリーをつけてみたり。

まるで、…

恋してるみたいじゃん

そう思ったら、ポポポって赤くなってきたほっぺを冷ましながら、家を出た

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