End of Line 【登坂広臣】 (ページ4)

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…

「みんな～差し入れ届けてくれたよ～」

「おぉ！まってました～！」

「マジすか！」

テツヤさんはオドオドしてるわたしを他所に、優しく手を取り、わたしを中に引き入れた

段々と鮮明に聞こえ始めた声に、身が縮こまる。

「あれ？その一緒の方は…」

「テツヤさんのカノジョさんですか？！」

「もー！違うよ？行きつけのカフェのオーナーさん」

いつぶりだろう、こんなに大勢の人に囲まれるのは。

興味津々と言わんばかりに向けられる好奇の目に、ヒクッて息が詰まった

「蘭堂Aさん。

中目黒にあるカフェのオーナーさん。

新作のマフィンがすごーっく美味しかったから、差し入れをお願いしました～」

「「おぉ！」」

「ひとり一個だよ～！？」

「あざす！頂きます！」

さっきのマネージャーさんによって配られていくマフィンに、みなさんの視線が分散されて、ひとまず息を吐いた

「…ごめん、シンドくない？」

『大丈夫、です…』

「無理やりこさせてごめんね」

頑張ったね

落ち着かせるみたいに、背中を優しく撫でられた。

目立つこととか、視線を集めることがニガテな事を知っているのはテツヤさんだけ。

「え！中にソースはいってるー！」

「ホンマやん！」

マフィンを食べ始めた人たちから、ちらほらと飛び交う感想に、テツヤさんと目を合わせて笑った

『あの、よかったらこれも…』

「んー？なになに？」

渡しそびれていたポットを手渡した

パカって蓋を開けたら、優しい紅茶の香りが広がる

「えー！紅茶まで！ありがとーっ」

『マフィンだけだと、喉カピカピになります笑』

「あはは！それは確かに」

また新たな差し入れに、場が再び湧いた

「……あれ？」

ふと、テーブルの上に残された1つマフィンが目に入った

1個多かった…？

いや、ちゃんと数えたはず…

不思議に思っていたその時、

「すみません、遅くなりました」

騒がしいはずの空間。もちろんその声に気づいてない人もいるように見える。

けど、私の耳へはストンと入ってきた声

その声がきこえた、入口を振り返った。

…