End of Line 【登坂広臣】 (ページ30)

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いまはどの曲なんだろう

コポコポと沸騰し始めたお湯と時計を交互に見るのを繰り返している

昨日の夜に、みんなで飯来た

なんて言葉とポンって送られてきた写真は7人で焼肉を囲ってる写真

仲良いなぁ…っていまだにその写真を見てる

コロンコロン

パって顔を上げた

「いま、営業って…」

『っすみません、しています！』

ドアからチラリと顔を覗かせたの、目深く被ったハットとマスク

初めましてのお客さまだ…

『お好きな席にどうぞ』

「…じゃあここで」

おひとりでこられる方に人気の席

左から2番目のカウンター
テツヤさんも臣くんもそこだったな…

『コチラがメニュー表になります。』

「…なにかリラックス出来る香りのもの、ありませんか？」

『そうですね…

ハーブティーは飲みなれていますか？』

「…いや、コーヒーの方が飲んでます」

『苦手な香りはありますか？』

「いえ、特には…」

『分かりました。少々お待ちくださいね』

少し硬い動きだった彼は、マスクを外して小さく息を吐いた。すると、カバンから本をだして広げた

本、好きなんだ…

表紙がチラリと見えて

『あ、……』

口を抑えたけど、もう手遅れ

しっかり聞こえてしまった。

「本、読むんですか？」

『はい…その小説、私も今読んでます』

「そうなんですか!?」

『ふふ、偶然ですね』

目元は見えないけど、優しく笑った口元が見えた。

『お待たせしました』

淹れたての紅茶を出した。

ふわりと強すぎない優しい香り。

「レモン、ですか？」

『はい。レモンバームと言います。
レモンバームには鎮静効果もあるので、緊張を取りやすいと思います』

「…これは？」

『気が合いますね、のお気持ちです』

カップの横には1口サイズのうさぎのクッキー
さすがにコツメカワウソは作れなかった。

『常連さんのお顔です』

なんて言った、口に運ぼうとしてその手がピタって止まった

「…マジですか」

『？はい。』

「それ、あんまり言わんほういいですよ笑」

『えっ…まずいですかね…』

あははって軽快に笑った

頂きますっ
口にポンって放った

「うまいっす」

『よかった～気が合いますねは成功ですか？』

「あはは、大成功っす」

…