End of Line 【登坂広臣】 (ページ26)

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俺ってこんな衝動的に動くっけ…？

思わず引き寄せてしまった彼女が、自分の元にいることに勝手に混乱した。

『とさか、さん…？』

俺を見上げたその表情に、掻き立てられるものを押さえ込んだ。けど、まだ話してたくて、彼女を連れて空き部屋に入った。

まって俺汗くさくね…？

さりげなくタオルを嗅いでみるけど、ちょっとよくわかんねぇわ

.

腰を引き寄せちゃった時に気づいたけど、細いな…

改めて、彼女をみたら、茶色の緩いウェーブのロングヘアーと、白いロングワンピースは、シンプル故に彼女の魅力をすごく引き出していた

『ますます、トリコになっちゃいますね』

恥ずかしそうに言った彼女は、いままで何人の男たちを落としてきたんだ…

一目惚れから始まったこの気持を、俺は相当こじらせているらしい。

『……登坂さんの歌は、

私を前向きにしてくれました。』

本当にありがとうございます

ふんわりと微笑んだ彼女は、今まで見た中で1番の笑顔を見せてくれた

よくわかんねぇけど、この笑顔を引き出せたのは自分なんだと思うと口元が緩んだ

「呼びかた、欲張ってもいい？」

せっかくきたチャンスを逃しに逃しまくってきたんだから、いまはガツガツ行くべきだろ…

自分に言い聞かせた。

不思議そうに首を傾げた蘭堂さん

「名前で呼んでもいい？」

なんて言ったら、恥ずかしそうに俯いちゃって。その反応も、ズリぃよなぁ…

『…私も、名前で呼んでもいいですか？』

「っ、もちろん。敬語も無しでいいよ」

『ふふ、分かった。臣くん』

鈴を転がしたような声って、こんな事を言うんじゃん？って思った

俺の名前がすげぇ特別に聞こえる。

「 A 」

『うんっ』

名前を呼んだだけで、花が咲いたみたいに笑うから、あー抱きしめてぇって思いながら、ぎゅっと拳を握った

.

じゃー戻るかーって、たちあがった。
直人さんたち待ってるしな…まだ話したかったけど。

後でめんどいの勘弁。

『あのね、』

「ん？」

服の裾をきゅって引っ張ったAを振り返った

『臣くんの声、だいすき』

「っ、」

あー、知らん。

おれ悪くないし。仕方ないじゃん。

そう自分に言い聞かせて、Aを抱き寄せた

この人は

俺をどんだけ好きにさせんだろ。

腕の中にいるAを優しく抱きしめた。

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