End of Line 【登坂広臣】 (ページ25)

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遠くから、ウォーって声が聞こえてきて、ライブ後に円陣でもくんでるのかな…？

なんて思っていたら、

「Aちゃーーーん！！」

叫びながら駆けてきたナオトさん

びっくりしてビシって固まった私の手を掴み、ぶんぶんと振った

「昨日も今日も来てくれて本当にありがと～～っ!!!」

『とても、素敵なライブでした。』

「本当？嬉しいなぁ！」

おいで！みんなに会いに行こ！

そのまま私を立たさたナオトさんが、眩しい笑顔でそういった

キリキリと胸が苦しいけど、ここで折れてたら、さっきの宣言は、…

挨拶の心構えなんてものをしようとしたら

後ろから腰を引き寄せられて、覚えのある香りにぽすっと抱きとめられた

『とさか、さん…？』

「直人さん…」

少しだけ不機嫌にも聞こえる声に、ナオトさんはぴゃっと跳ね上がって私の手を離した

控え室で待ってるから！って言い残してバタンっと部屋に入ってしまった。

登坂さんに触れてしまってるところが、熱くて顔を見られないように俯いた

「…ちょっとだけ、話さない？」

『はい…』

今度は優しく私の手を取って、ある部屋に入った。
そこは何も置かれてなくて、空き部屋のようにみえる。

「来てくれてありがと」

登坂さんはタオルで汗を拭きながら、優しく笑った。

そんな仕草も絵になるから、彼のファンは堪らないだろうな、なんて他人事に思った

『ますます、トリコになっちゃいますね』

「んー？」

なに？それって口の端を上げて笑った
その仕草はクセですか？

恥ずかしそうに鼻の下を指の甲でかいた

『背中を押してくれて、

ありがとうございました』

「えぇ？ちょっとまって笑なんのこと？」

『私も、愛と夢と幸せ、届けますっ』

伝わんなくていいやって話したことは想像以上に伝わってなかった

え？え？って言ってる彼が可笑しくて、小さく吹き出してしまった

『……登坂さんの歌は、

私を前向きにしてくれました。』

まだまだ弱いけれど、いつか私が周りの人を勇気づけられるような人になれたら…

…