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スクリーンのカウントダウンが、残り5分をきるところだった









「蘭堂さん。


貴方の身に起こった出来事の辛さを、同じだけ味わうことは出来ません。


けれど、まだすこしでも歌いたいとおもうなら、僕は君に手を差し伸べたいと、思っています。


そんな経験をしてきた君だからこそ、伝えられることがあると思うんです。」









スクリーンへ真っ直ぐ向けていた視線は、手元の携帯へ落ちた。

所々詰まりながら話す私に、ヒロさんがいっそう柔らかな声でいった









『わ、たしは…


マイクに向うと、声が、止まるんです。
枯れてしまうん、です…



まだ、上手く人を頼れないです…



裏切られるくらいなら、信じないほうが


あとが、ラクなんです…』







「…ファンの皆さんから愛されている彼らを、見てあげてください。

彼らの大きな愛を、見てあげてください」









カウントダウンがおわり、昨日のようにトロッコから現れた彼らに、大きな歓声が会場を包み込んだ。









「彼らは、LDHです。


Love Dream Happiness を届ける。




あなたもそれを受け取ることが出来ます。」









イタズラっ子みたいにクスリと笑ったヒロさんは、何かあればご連絡、お待ちしてますね。そう言って、座席から出ていってしまった







.










1人残されたこの空間で


彼らのパフォーマンスを見ていた。






愛、夢、幸せ…か

壮大な社名だ。









『 …… また、歌える、かな… 』









.









" I'm not sure 本音は自信ない "



" 思い描く姿はこんなんじゃない "




" 背中を押してくれる人のため "




" 弱音なんて捨てて 叩き上げろ "









歌って不思議だよね



ただの言葉の羅列に過ぎない文章にリズムをつけて泊をつけて人が歌う

そうしたら、なにか特別になるとか。





こんなタイミングで、こんな強気な歌が流れてきて、ステージの上にはマイクパフォーマンスをしている。

黒と白のスーツがなんとも彼らをセクシーに魅せる









" I know 変えるかは自分次第 "







そう歌った登坂さんに、思わず笑みが零れた









『…登坂さんも、そう思うんですか?』









奇遇だ。



私も、そう思ってた所なんです









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作者名:miu:みく | 作成日時:2020年9月5日 7時

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