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『…はい』






画面をスライドして、耳に当てた

ザワザワする音が届く








『登坂さん…?』


「っ、もしもし。登坂です。蘭堂さんですか?」


『はい。蘭堂です』







登坂さんの少し弾んだ声が電話越しに聞こえてきた。









「ライブ来てくれるの?」







『…はい。



もう一度、登坂さんの歌が聞きたいです。』









もちろん。三代目というグループ7人のパフォーマンスがあっての話。

でも、固く閉ざしたモノを突いたのは紛れもなく登坂さんだった。





小さく息を飲んだのが聞こえて、私まで息を飲む。











「蘭堂さん」










少し間を開けて、

凛とした声で 言った













「よそ見しないで。



俺だけを見てて」














そうやって、登坂さんは直ぐに私を甘くさせる

イヤに熱を持った頬と、早くなった心音に気づいてしまってからは手汗まで意識してしまった







きっと、女性に慣れているだけだ。



自分に言い聞かせて、こんな表情をしていることを悟られないように









『…ふふ、分かりました』











少しだけ余裕なフリをして返事をした。

そこから、簡単に入り方とかを教えて貰って、通話終了









『もうこんな時間…!』









あと1時間半


携帯を充電に繋げて、慌てて洗面所に駆け込んだ









.
.
.









昨日とは違って関係者席になるから、ヒールの高さとかあまり気にしないで大丈夫だよ


ライブマナーのこと聞いたら、そう答えてくれたので、お言葉に甘えておばあちゃんからもらったあまり履けていないサンダルを卸した






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作者名:miu:みく | 作成日時:2020年9月5日 7時

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