End of Line 【登坂広臣】 (ページ19)

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…

『…なんで、そう思うの？』

震えそうになる声を、必死に抑えた

「なんっでも分かるよぉ。Aちゃんのことなら」

『っ、おばあちゃん… 』

「いっぱい頑張ったからねぇAちゃんは。
頑張ってたの、ばあちゃんが1番知ってらよ(知ってるよ)」

頑張った、頑張ったもんなぁって繰り返すおばあちゃん。あの時だって、おばあちゃんは私を抱きしめて、優しくてそう繰り返してくれた。

『おばあちゃん、…

わたし、まだ…こわい…っ、』

全ての目が私に向けられて

歓声や賞賛を紡いだ口は、罵詈雑言を浴びせるものへ変わり、

仲間だった人が、弱い私のせいで敵に見えて

信じてたはずの彼も、信じられなくて

勝手にぐしゃぐしゃになって

逃げ出した。

そんな私が、彼らの音楽に触れて、近づいてしまうのは、どんなことよりも大罪に感じてしまう

「Aちゃんは、

おら(自分)を責めすぎるんだべなぁ(責めすぎてるんじゃないかな)」

『…え？』

「おら(自分)の事を認めてあげられるのは、おら(自分)だけだよ

たまにはわらっしゃど(子ども)みてぇに甘ったれ(甘えて)でいいんだよ」

地元特有の、柔らかくて落ち着いた訛り

両親がとうにいない私には、安らぐ場所をくれるのはおばあちゃんだけだった。

『……ぅん、ｯ… 』

「大丈夫だぁよ。また、戻ってこりゃええべ(もどっておいで)」

通話が終わった頃には、到着しなきゃいけない時間の2時間前だった

おばあちゃんと話してると、あっいう間に時間が過ぎるな…

暗くなった画面をみて、もう一度電源をつけた。

Aライブ、見に行きたいです

そう送ると、パッと既読がついたけれど、すぐには返信がこなかった。

やっぱり…迷惑、だったかな

すると、

prrr…

また鳴りだした携帯。
画面をみると、連絡を待っていた登坂さんだった

…