End of Line 【登坂広臣】 (ページ16)

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…

「一人にさせてごめんね」

その方が、いいかなって思ったんだけど…

伺うように顔を覗いたテツヤさん。
大丈夫ですよと笑った

「来てくれたんだ～！めちゃくちゃ嬉しい！」

ナオトさんとハイターッチって手を合わせた

明るくて人当たりのいい彼がリーダーのひとりだから、このグループはこんなにも愛されるのかな…

「ちょっと俺、すぐマッサージの順番くるからもう行くわ！ごめん！」

「お～おつかれ！最終日来るわ！」

『お疲れ様でした』

ばいばーいってドアに消えていったナオトさん

テツヤさんも、メンバーに会ってくるねって直ぐにその場を離れてしまった

急にふたりで残されてしまった

「『 …… 』」

二人の間に、沈黙が流れた

「名前、覚えてくれた？」

『はい。登坂広臣さんです』

「そー。覚えてくれてよかった笑
…今日も、来てくれてありがとう、すげぇ嬉しい」

『こちらこそ、呼んでくれてありがとうございました』

律儀にふたりでお辞儀し合って、おかしくなって一緒に笑った

「…その、ゲネプロ、どうでしたか？」

いつもの変装セットじゃなくて、アーティストの登坂さんはオーラに包まれていて、気遅れしてしまうけど、その優しい笑顔につられるように私も笑顔になった

『聞きに来て、よかったです…』

本当にステキでした

まっすぐ彼を見て答えた

さっきまでのライブは、私の汚い過去なんて小さいことで、大丈夫だよって言ってくれるみたいで。

すごく暖かかった。

まっすぐに彼らを愛するファンの人たちが、羨ましくて、ファンに愛される彼らをまた羨望の目で見てしまう自分もいた

「大丈夫？」

そっと触れた登坂さんの手が、わたしの頬を滑った。

気づかないうちに
思い出して、また涙が流れていた

『っ、すみませ、…』

拭おうとした手を、掴まれる

「擦ったら、腫れちゃうよ」

ちょっとガマンしてね

そう言って手に持っていたタオルで、ポンポンと目元を拭いてくれた

『登坂さん、』

「はい」

『あなたの、ファンになっても…いいですか？』

登坂さんは目を見開いたけどすぐにエクボを浮かべて照れくさそうに笑って頷いた

…