End of Line 【登坂広臣】 (ページ15)

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来てくれるかな…

やっとの思いで、彼女に渡したメモとチケット。あんなことするなんてどうかしてるよな…引かれてねぇかな

やっぱ連絡先、貰っとけばよかった

終わったことをウダウタと考えていたら、メイクを終えたらしい直人さんが肩を組んできた

「臣ちゃーん」

「なんスか笑」

「蘭堂さんに渡したんだって？チケット」

「ちょ、もう耳に入ってんの…笑」

「俺を舐めんなよ～？」

何故か得意げな直人さんに違和感。

なんだ…？

「俺さ、昨日蘭堂さんに会ってきて頼んどいたから！来てって。」

「え！？マジすか？笑」

「まじのマジ。俺も気になるしね～」

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テツヤさんと仲がいい直人さんには、あの日、すぐに録音を聞かせていた

「……この声さ、…いや、でも…」

何かをブツブツ言っていた直人さんを横目に、もう一度録音を聞いた

透き通っていて、どこまでも伸びる声

彼女にしか出せないようなその声は、1度聞いたら忘れられなくて。

それゆえに、何故か聞いたことがあるような、ないような。

ん？どういうことだ？
混乱し始めた思考。それでも、彼女唯一とも思える歌声にはやっぱり聞き覚えがあった

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ゲネプロ直前まで、マネージャーに来てたら教えてと言っていたけど、関係者席に蘭堂さんの姿はなかった

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.
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ゲネプロ

明日から始まるライブに向けて、ほぼ全力に近いパフォーマンスをしていく

終盤までやりきった。

トロッコに乗って、歌いながらメンバーとアイコンタクトを取っていたら

「？」

隣のトロッコにいるナオトさんが、全力の口パクで何かを訴えてきた

隆二のパートになったから、ちらりとその視線の先を確認した

すると

「！！」

アリーナ席の端に、黒い服に身を包んだ彼女が座っていた

それは確かに、あの時に会った蘭堂さんで。

俺たちのトロッコに合わせて、忙しなく頭を動かしていた

「 (やったな！) 」

親指を立てて笑う直人さんにつられて、俺も親指を立てて大きく笑った

俺を乗せたトロッコが動いて、彼女の真横に通った

その時、蘭堂さんと目が合ったように感じた
ここまで、この一瞬に長く続いて欲しいと思っことねぇってくらい、短く感じた。

心なしか、蘭堂さんは泣いているようにも見えた。

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