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…
彼らの歌は
その声は
どうして こんなにも深く響くんだろう…
『 ッ、… 』
止まらないソレをそのままにした。
ハンカチを探す、その数秒間でも目を逸らすことがもったいなく感じてしまうほど、彼らは私を魅力した。
苦しさとか些細な事で、この世界から逃げ出した私とは違って、力強く響く歌声だった。
たとえゲネプロだとしても、これを見るだけで、彼らがどれほどファンを愛しているか、痛いほどに伝わってきた。
『……』
羨ましい
まだ、歌いたかった…
口を開けるけど、彼らのような澄んだ歌声にはならない
登坂さんにつられるように、静かに胸に手を当てた
トクン
トクン
穏やかな心音
歌を聞くことを、怖がってたのはわたしだけなのかな…
.
.
.
彼らのようなアーティストでは定番なのか、後半になり、最高のタイミングで弾けるような音と一緒に、キラキラしたテープが飛び出して会場を彩った。
反射する光と、彼らの輝くような笑顔
エンディングも近くなったのか、また彼らはトロッコに乗って動きだした。それにつられるように私も首を動かした
すると
『…っ』
ふと、登坂さんと目が合った様な気がした…
真ん中にいるから、本当に合ったかは分からないけど、彼からまっすぐ届くその視線を逸らすことは出来なかった
.
.
.
登坂さんとりゅーじさんは、最後まで空高くまで届くように歌い上げた
アンコールまでやり切り
全員が礼をして、ステージを後にした。
残された熱気の余韻はなかなか抜けなくて、彼ら7人が持つパワーは、わたしの想像を超えていた
中々止まらない涙を、やっとハンカチを使って押さえた
「Aちゃーん」
どこからかテツヤさんの声がして、慌てて涙を拭って振り向いた
『ッテツ、ヤ…さん…
えっ、』
その先には、テツヤさんだけじゃなくて
ナオトさんと登坂さんがいた
「蘭堂さーん!来てくれてたのー?!」
バレちゃったか…
おーい!って手を振ってるナオトさんに思わず笑みが零れた
…
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作者名:miu:みく | 作成日時:2020年9月5日 7時