End of Line 【登坂広臣】 (ページ1)

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キラキラ輝く宝石箱

ショーケースに並んだスイーツは宝物みたい。

隠れ家

常連さんに、そう呼ばれるくらいにひっそりと立つカフェは白とブラウンを基調としていて、所々に並べられたクマのぬいぐるみたちがトレードマーク

ネットの露出はナシ。

店内撮影もご遠慮頂いてる

コロンコロン

入店を知らせるベルが鳴った

「今日も来ちゃった～」

『ふふっ、お待ちしてました』

常連さんのひとりである、テツヤさん。

『いつものですか？』

「そ～。いつものっ」

カウンターの左から２番目

薄オレンジのクマが座るその席は、テツヤさんの定位置

「本当はコーヒーマニアなんだよ？」

むふふって怪しく笑ったテツヤさんは、ブレンドハーブティーを口に運んだ

『だからこそ、なんじゃないですか？』

「やーんウワテな答え返ってきた～」

全然、残念そうじゃないテツヤさん

ねー？ってクマに話しかけてる所をみると、毎回年上に見えなくなっちゃうな…

『今日は不審者セットはないんですか？』

「ちょっとぉ！不審者セットじゃないよ？コレでも有名人なんだからぁ！」

『ふふっ、ごめんなさいっ』

ぷくーって頬を膨らませた顔が、少しウサギを連想させた。

「もう少しでライブなんだ～」

『…一段と、忙しくなりますね』

「そう～。なかなか来れなくなっちゃうかも…」

『それは寂しいです、、』

テツヤさんは結構な頻度で通ってきてくれてて、来ない日は少し物足りなく感じてしまう

「あ～このスイーツ新作？」

キラキラした瞳で見つめる先には、作ったばかりのマフィン

『昨日から出したスイーツなんですよ』

「なにそれ～美味しそ～っ」

『よかったら食べていきませんか？』

「えー！いいの？」

『ぜひ。感想を聞かせてください』

ケースからだして、トースターで軽く温め、焼き色の着いたマフィンを取り出す。

ヴィンテージシルバーのお皿に、レースの敷紙を置いてその上にマフィンをひとつ載せた。

コトリ

お皿を置いたら、輝いた目のまま、いただきまーすとフォークを刺した

『…いかがですか…？』

自信満々にお出ししたものの、ぱくりと口にした途端、俯いてしまったから、不安がよぎる

美味しくなかったかな…

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