109話 ページ9
本人の言う通り、ゾムはダンスが上手かった。
でも、上手い人と踊ったからといって上手くなるわけではない。
差がはっきりとわかるだけだ。
私はまだ足の踏みどころ、エーミールさんが言うにはステップと言うらしいが、それがわからない。
だから足元を見たいのに、ゾムは私が下を見ると目を合わせろとしつこく言ってくる。
eml「左足を斜め右前！今度は逆！」
『咄嗟に動けません！』
エーミールさんがごちゃごちゃ言っているが、話すことでも精一杯な私にとって、聞いたことを文字に起こして、それを更に行動に移すなんて無理な話。
況してや、右と左でさえ少し考えなくてはならないくらいだ。
斜め前とか難しいことを言われても出てくるのはクエスチョンマークのみ。
zm「あとで大先生の部屋に行ってくれへんか。」
『え！？今言う！？わかんない待って混乱する！』
zm「大先生呼んでたから。」
『あ、うん、うん！わかった！』
よくもまぁダンスの途中に話せるものだ。
ゾムは舞踏会に出たことがあるのだろうか、すごく上手いというのもプロ感あるし、何より余裕すぎる。
グルッペンさんのピアノが終わって、ダンスも終わった。
見ている分にはぬるぬるとした動きだったが、やってみると案外ものすごく疲れる。
gr「後半ちょっと出来てきてたな！」
『何もわかりませんでした。』
zm「いや、可愛かったで。」
op「Aさん、私と踊りましょうか。」
オプロイテちゃんは、急に進み出てきたと思いきやそう言った。
ゾムもエーミールさんも突然の展開に驚いているようだが、グルッペンさんだけはニヤニヤと楽しそうに笑っている。
『でもオプロイテちゃんは女の子の踊り方なんじゃないの？』
op「どちらも可能ですよ。さぁ踊りましょうか。」
オプロイテちゃんの手に私が手を乗せているだけにも見える独特な手のつなぎ方をしながら、広間の真ん中に出ると、グルッペンさんのピアノが始まった。
近づいてみると、オプロイテちゃんは思っていたより身長が高く、多分、グルッペンさんくらいあることがわかった。
ちゃんとリードしてくれるし、身長があまり大きくない私がぱたぱたと忙しなく動く必要がない動きをしてくれる。
そして、瞳は緑色。
でも、生きているような金色の髪は、なんとなく私と一線を引いていた。
オプロイテちゃんは、その瞳の色故に虐められたことがあっただろうか。
彼女は、この世の全てを知っているかのように、優しく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「軍パロ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風太(プロフ) - ダリア太郎さん» わわわ待っていてくれてありがとうございます、、、作者多忙でしてひと段落着いたらまた更新するかと思われるので気長に待っていて貰えればと思います(´∩ω∩｀) (2020年6月22日 23時) (
レス) id: 1ce02552d8 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア太郎 - 更新しないんですか（ ｉ _ ｉ ） (2020年6月22日 22時) (レス) id: db84d391e7 (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ぱんさん» どうぞ！！！（輸血パック） (2019年9月4日 7時) (レス) id: 68876f6c16 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - 何してくれるんだ！鼻血がとまんねーよ！ (2019年7月24日 20時) (レス) id: afe6fa3e2d (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - あっぷるさん» コメントありがとうございます！！！更新頑張ります！！！ (2019年4月7日 9時) (レス) id: 4133c0f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
