久しい日常 ページ8
現在8時35分、私立楼下学園。
「ありえねぇだろ」
──全教室内はすっからかんの無人だった。
「なんとなくこうなる気がしてたよ」
少し自嘲気味に笑うA。
「だから俺を起こすのやめたんだな」
「うん、テロの影響で登校時間が遅くなるかも、って思ってたけど……」
ほら、とAはリレグラを差し出してきた。
それを見れば案の定登校時間が9時半になっていた。
「よし、全部の教室確認しに行こうっ！」
「そうだな」
黒音たちの予想が正しければ、この時間にもう一人登校している人間がいるはずなのだ。
そして、3年4組の教室をのぞきこんでみれば、その子はいた。
『まだかなまだかな、みんな遅いんだぜ授業始まっちゃうよマジに』と、ひとりワクワクそわそわしている女の子が教室の隅っこの席に座っていた。
黒音とAは顔を合わせ、クスリと笑う。
「おい端ノ木さんダメじゃないか！」
「まだ登校時間前、早刻はいけません！」
「ま、マジにっ！？いっけない先生。私早く来過ぎちゃったのか、早刻の璃里理だったッ！」
と、ここでようやく璃里理は先生ではなく黒音だと気付き、「ん、ありゃ？なんだ野生のこうちゃんにAちゃん！おはようなんだよ」と、奇怪なポージングを決めている。
「さぁ罰として、土下座だ」
「じゃあこうちゃんもトゥギャザー！なんてね？」
「うまくない」
「じゃあじゃあ寒いときにする大火傷ってなーんだ……？」
「低温火傷とか？」
「私でした……」
「自覚症状ありかよ！」
しょんぼりする璃里理。
(よかった、いつも通りか)
内心安心するA。
昨日は色々ありすぎて、Aと黒音は久しぶりに璃里理と会った気持ちになってしまった。
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作者名：中学生なのに暇人 | 作成日時：2014年9月7日 22時
