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危険図書を読もう ページ4

「俺、人前では歌えない」

黒音がそう言葉を発すると、シロさんの視線が鋭くなる。

「まーだそんな弱気なこと言ってんのかよ。テメェあんなにノリノリで歌ってたじゃねーか」
「あの時は……」

別だった。生きて脱出するためというのもあったし、何より音楽が流れてきたとき、まるで自分の考えとは思えない思考が芽生えてきたのだ。


「間違ってるのは……俺だよ」
「……」
「……っ」

Aが口を開き、閉じる。
私たちは間違ってないよ、なんて、言えるはずが無かった。

「……はぁ。『物語を知らない子供たち』に何を言ったって通じねぇ、とりあえずまずはそれでも読んでからにしろ」

シロさんはひょいと尻尾の先をベッドに向けた。
ベッドにはポツンと横たわる『クラスメイトが全員お兄ちゃんなわけがない』の姿が。

「そんでも同じことが言えるなら、その時はきちっと考えてやるよ」
「……来夏ちゃん」

黒音、Aは彼女と約束をしていた──必ず俺達が読む、と。

「恋失、先読んでて良いよ、私お風呂入ってくるから」
「……うん」


「ほう、そうしろそうしろ、じゃあ俺もゆっくり風呂入るわ」
「えっ……シロさんさっき恋失と入ってたよね……?私とも入るつもり……?」

まるで不審者を見るような目でシロさんを見るA。


「あれは人間と戦争してたせいでゆっくり入れなかったんだよ!!安心してお湯に浸からせてくれや」
「まあ猫に裸見られるくらい、別に良いけど」

嫌そうな顔をしながらも、Aは一応承諾する。



一人と一匹が仲良くお風呂場へ向かうのを横目で見ながら、黒音はパラリと本のページをめくった。

昔の記憶─貴方目線─→←一生一緒



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作者名:中学生なのに暇人 | 作成日時:2014年9月7日 22時

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