72話 ページ24
o｢...翔くん｣
俺の言葉を全部聞いた後、智くんは口を開いた
o｢これ、見てくれる？｣
そう言って目の前に差し出されたのは、あのスケッチブックだった
s｢あ...でも、これ...俺この前...｣
o｢うん、知ってる。...知ってた、でも見て？｣
まさか勝手に見ていたことがバレてるなんて思ってもみなかったから驚いた
おそるおそるスケッチブックを受け取り、表紙をめくる
何ページがめくった後、あるページで手が止まってしまった
s｢あ...｣
そのページには、たくさんの笑顔があった
見開きのページで、左にはあの3人の満面の笑顔
そして右には、俺の似顔絵が描かれていた
でも、この絵の俺は、眼鏡をかけていなかった
s｢俺、眼鏡とってたっけ…？｣
ううんと彼は首を横にふった
o｢...羨ましかったんだ。松潤が｣
s｢え...？｣
o｢俺の前では眼鏡をとるの嫌がってたのに、松潤の前では平気そうだったから｣
s｢.....｣
o｢俺だって最低だよ…最低だ。本当はもっとちゃんとした絵を見せたかったのに…俺の汚い気持ちのせいで、全部ダメになっちゃった｣
s｢汚い...？｣
思わず聞くと、彼は苦笑したように笑う
o｢いつのまにか3人が翔くんと仲良くなっててさ、俺か先に見つけたのにってずっとイライラしてた｣
後悔してるような、自分を否定してるような彼の言い方に少しズキンと胸が痛くなる
o｢俺は優しくなんかないよ？この絵だって俺のわがままだ。翔くんの素顔を見たいと思って書いたんだから｣
智くんの手が俺の頬に伸びてくる
優しい手つきで頬を撫でていて、心地いいものだった
o｢だからもう話せないなんて言わないで？俺は話したい。優しさで言ったんじゃない。俺は翔くんのそばにいたいんだよ｣
彼と目が合う
意を決したように俺の肩に手をのせた
.
.
o｢好きだ。好きだよ、翔くん。出会った時からずっと｣
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作者名：NOAA | 作成日時：2017年10月29日 7時
