鬼遊 ページ37
「一寸待ちなさいってば！」
行き交う人々を交わしながら逃げる沙羅を、モンゴメリは必死に追いかける。
沙羅の言葉に耳を貸さなかったのは自分だ。
沙羅を突き放したのは自分だ。
沙羅が逃げる理由は自分だ。
だから追い掛けて謝らなくてはならない。
何時も自分と一緒に居て呉れた親友とまた一緒に居たい。
沙羅の行き先に人気の無い路地裏が見えた。
沙羅を見失ったら終わりだ。
異能空間に逃げ込まれ、会えなくなってしまう。
「あれ、沙羅！久しぶり！」
沙羅の行き先に赤毛の襟衣の前を全開にした青年が現れ、沙羅の前に飛び出す。
そして彼女の手を掴み、上下にブンブンと振る。
モンゴメリはそれを見て足を止めた。
トウェインはモンゴメリに向かって片目を瞑る。
普段は苛立ちしか起こらないそれが、今は感謝しかなかった。
「ナイスよ、トウェイン！」
モンゴメリは叫んでまた駆け出す。
後ろを向いてしまった、という顔をした沙羅は手を振り払い逃げようとするが、トウェインの手がなかなか振り払えない。
「沙羅！」
そんな沙羅の背中にモンゴメリは飛び付く。
「御免なさい、あたしが悪かったの。
貴女の言葉に耳を貸そうとしないで勝手に誤解して勝手に裏切られた気になって。
ねえお願い、また一緒に居て」
方に頭を埋めてモンゴメリは云う。
沙羅は困ったような顔でモンゴメリの頭を見、トウェインを見る。
トウェインは口に人差し指を当て、ニヤリと笑うとモンゴメリの頭に手を伸ばす。
モンゴメリはその手を払う。
「痛っ。
何で見えてないのに僕だって判るの！？」
「煩い、気障」
モンゴメリは頭を埋めたまま応える。
「もう元の名の面影無いね」
沙羅はモンゴメリの頭を二度軽く叩く。
「ルーシー、肩が重い。
そしてポチ、手を離してお座り」
トウェインは未だ沙羅の片手を掴んだままだった。
「何で救世主がこんなボロクソ云われなくちゃ行けないのさ」
トウェインはそう云いながらもその場にしゃがみこむ。
沙羅は手巾を取り出し、モンゴメリに渡す。
「これで顔吹いて。
肩が冷たい」
「え、何。
モンゴメリ泣いてるの？」
トウェインが顔をあげ、モンゴメリの顔を覗き込む。
沙羅とモンゴメリはトウェインを蹴った。
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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました！大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました！ (2017年8月21日 11時) (
レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい！ (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか？ (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹山花音 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月19日 21時
