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解放 ページ31

一瞬の後、扉の中に居るものも、外に居る者も皆最初の交差点に居た。

敦はモンゴメリを見付けると駆け寄り、声を掛ける。

「早く此れ解いて頂けます?」

口調は穏やかだが怒りを押さえきれていない沙羅は隣に居る森を睨む。

「ああ、ゴメンゴメン」

森は軽く笑ってほどきに掛かる。

「ああ、でも君を此のまま解放せずに連れ帰って、組合の情報を吐かせるって云うのも良いなぁ」

ニヤリと先程とは別物の笑みを浮かべ、ほどく手を止める。


『それに君は面白そうだ』

森は沙羅を抱え、そう耳元で呟く。

沙羅は森を睨み付ける。

「リンタロウ!」

突如森の背後から金髪の少女が出て来る。

「あああっエリスちゃん!」

声量を大にして森は叫ぶ。

防ぎ様の無い沙羅はすぐ近くで森の叫びを聞かされたことにより、顔をしかめる。

キーーンと耳鳴りがする。

「大丈夫だったかい、何処へ行ってたのだい、心配したのだよう、突然居なくなるから」

沙羅そっちのけで森は立ち上がり、エリスの許へ向かう。

「ねぇ、もう誰でも良いから解いて」

沙羅は一人呟く。

「解いて差し上げましょうか?」

黒髪のセーラー服の少女が近付き、問う。

その後ろには兄の谷崎が沙羅を睨み付ける。

沙羅の返事を待たず、ナオミはほどきに掛かる。

「ナオミ。

危険だ、もしこいつがまた何かしてきたら」

「大丈夫よ、兄さま」

「でも・・・」

はい、出来たと云ってナオミは立ち上がる。

沙羅は立ち上がり、二人に頭を下げる。

「有り難う。

此の礼は何時か返す」

沙羅はそれだけ云うとモンゴメリの許へ向かった。



「ルーシー!」

路地裏で涙を拭いているとあたしの名を読んで沙羅が駆けてきた。

あたしはフイッとそっぽを向く。

「良かった、無事で。

御免ね、あの時助けられなくて」

「別に。

気にしてないわ」

態とぶっきらぼうに答える。

「あの、ルーシー?」

近付いてあたしの肩に手が置かれる。

あたしはその手を払い、沙羅を睨む。

「心配する振りは止して。

どうせ貴女もあたしの事都合の良い道具程度なんでしょ?

本当は友達だと思ってないんでしょ」

あたしはそう云って彼女の声に耳を貸さずにあるきだした。

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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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