束縛 ページ30
「君は・・・・・
思い違いをしている。
僕は強くも人気者でもない。
寧ろ生きる事はずっと呪いだったずっと呪いだった。
だから他人を恨み妬む君の情動はよく判る」
敦は俯いたまま呟くように云う。
「本当は君達にこの作戦を失敗して欲しくない。
居場所を失って欲しくない!
でも、僕は弱くて未熟だから他に方法が思い付かない」
「ルーシー!」
何かを察した沙羅は叫ぶ。
その声にモンゴメリが振り返るのと敦が何かを引く動作をするのが同時だった。
ガクンとモンゴメリの躰が揺れ、前に引き寄せられる。
何が起きたか判らず、モンゴメリは引き摺られないように足に力を込める。
「これは・・・・・・!」
モンゴメリの腰辺りに先刻まで敦が持っていたはずのリボンが結ばれている。
リボンを君に結んでおいた。
引き込まれる直前に」
もう一度リボンを強く引っ張る。
モンゴメリの躰が浮き、一気に敦の許へ引き寄せられる。
「は、はなしなさい!」
「ルーシー!」
沙羅が叫んで近寄ろうとする。
然し、前に踏み出すことが出来ない。
「君は助けに行ったら駄目だよ」
背後に森が立ち、にこやかな笑みを浮かべる。
沙羅は憎々しげに背後の森を睨む。
沙羅が前に踏み出せないのは背後に森が居るからではない。
否、それもあるのだが、本当の理由は手足を縛られているからだ。
扉に気をとられている隙に、森が縛り、谷崎の細雪で隠した。
「彼女を放して!」
沙羅が叫ぶ。
モンゴメリが助けを求める目で見るが、沙羅は助けることが出来ない。
「今から手を離す
決断の時は一瞬しかないよ」
「だめ、待っ」
「やめてッ」
敦は手を離し、扉の中に引き込まれていった。
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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月19日 21時