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それから二週間後



Qの異能で混乱した町の中をまるで散歩の様に歩く少女が居た。

ナイフを持った婦人に襲い掛かられても慌てず、鳩尾を一突きで無効化する。

彼女の目的は只一つ。

その目的地に向かって進んでいた。


「木乃伊は何処?」

探偵者の扉をノックもなしに開け放った少女の第一声がそれだった。

探偵社では事務室の中心に縛られた国木田。

それを取り囲むように太宰、与謝野、賢治が居た。

「君は組合の」

部屋の奥に居た谷崎が声に釣られて出てくる。

その後ろには妹のナオミ。

「組合が何の用だい?」

与謝野が鉈を構え、一歩少女に近づく。

「そこの事務員に借りた貸しを返しに来た。

用事があるのは木乃伊だけ」

少女、沙羅はそう云うと太宰に一枚の紙を渡す。

「十分以内にそこに来て。

あるものを貴方の手で無効化して頂戴」

沙羅はそれだけ云うときびすを返し、出ていこうとする。

「一寸待ちたまえ」

太宰はそう云って沙羅の肩を掴もうと手を伸ばす。

「触らないでッ!」

触れられる直前に沙羅は叫んで身を引く。

「貴方に触れられたら馬鹿が移るわ」

沙羅はそれだけ云うと触れられぬように走って社屋を出た。


後に残された太宰は紙を片手に思案顔。

「何だったンだい、先刻の子は」

与謝野が呆れたように云って太宰に近付く。

「その紙は何でしょうか?」

賢治達も近付き、太宰の持つ紙を覗き込む。

その紙には社屋からある広場への地図のようなものが書かれていた。

「何処です?それ」

「此れ、私が敦君が落ちてくるであろう場所をリストアップした時に一番可能性が高かった場所だ」

「え、じゃあ彼女は態々組合の重大な情報をボク等に?

何で態々作戦を潰すような情報を」

谷崎はわけが判らず呟く。

「彼女、ナオミちゃんに借りがあるようなこと云ってたけど、判るかい?」

振り返って太宰は問う。

「ナオミが組合に捕らわれてにいさまたちが助けに来てくれたとき、彼女がマフィアの人に縛られて動けなかったので戻ったときにほどいて差し上げましたわ。

きっとそれでしょう」

ああ、あれか、と谷崎も呟く。

「じゃあ、信用してここに向かおう。

後は頼んだよ」

太宰は微笑んで社屋を出た。

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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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