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プロローグ ページ3

ルーシーside


「モンゴメリ、皿洗いはいいからこっちに来なさい」

孤児院の皆の食器を洗っていると、院長先生に呼び出された。

「はい、先生」

あたしは洗っていた手を止め、一時的にとはいえ氷のように冷たい水から逃れられると思い、喜んで先生の後に付いて行った。

勿論喜びは顔には出さない。

喜んでいることが先生に見つかれば、この後何をされるのか判らないから。



先生の向かった先は、院長室。

それに気付いた時、あたしはこれからされることが想像できて顔をしかめた。

一週間前に付けられた火傷の傷が鈍く痛む。

また同じ事をされるのなら、皿洗いの方がましだった。

「入りなさい」

先生がドアを開け、あたしに入るように促す。

あたしは俯き、スカァトの裾をギュッと握り締め、中に入る。


中には先生の他にもう一人居た。

あたしと同じ赤毛の女の子。

それを右側で三つ編みにして居る。

彼女の手には金髪の蒼い美しいドレスを着たセルロイドの人形が抱えられて居る。

彼女はお客様用のソファに腰掛けていた。

あたしがじっと見つめていると視線に気付いてこちらを見た。

ピタリと視線が合う。

彼女の瞳は綺麗な青色で美しかった。

けれどその目はまるで硝子玉のように冷たく、何の感情も感じることが出来なかった。

彼女は直ぐにふいっと視線を逸らしてしまった。

何なの?

視線が合ったのなら何か反応してくれても良いじゃない。

態度もまるで人形のよう。

「モンゴメリ、あなたには今日から彼女の世話をしてもらいます。

良いですね?」

疑問形で訊いているけれど、断ることは許されない。

あたしは「はい、先生」と頷いた。

心の中では目の前の人形のような子に悪態をついていたけれど。

「沙羅、挨拶をしなさい」

先生に云われて漸く彼女は立ち上がってあたしを見た。

「野口 沙羅」


それだけ!?

もっと何かあるでしょ、宜しくお願いします。とか!

それすらも無いなんて、本当に人形みたい。

「モンゴメリ、あなたも」

先生に促されて、あたしはとびきりの笑顔を浮かべた。

挨拶はこうやるのよ、人形さん。

「始めまして、あたしはルーシー・モード・モンゴメリ。

宜しくね、沙羅さん」

彼女の目を見つめる。

何か一つぐらいは感情が見えるんじゃないかと思って。

けれど、何にも無かった。

相変わらず硝子玉のように透明何もなかった。




これがあたしと沙羅との出会い。

第一印象?

勿論最悪よ。

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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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