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2話 ページ3

名前はAAちゃん。

アルバムによると、1990年産まれ、5歳。
見た感じ女の子。
お友達とのお手紙を見ると、住所は東京都渋谷区〇〇。

これがこの部屋で集められるこの子についての情報だった。

同姓同名であったことや、
自分が生まれた年よりも随分と昔に産まれていること、
今が1995年であること。
目を見張る事実が沢山出てきた。

どうしたものかと考えあぐねていると、名前ちゃんのお母さんらしき人が部屋をノックした。

私が幼稚園を遅刻してしまう事を心配して、優しい声で私の名前を呼んでいる。どうやら家庭環境は良いらしい。

はあいと返事を返し、急いで服を着替えて部屋から出る。

勿論中身が違う人間なので、
朝ごはんのパンを噛みながら噛み合わない会話を行ったが、
何だか少し抜けている人のようだったので上手く誤魔化すことが出来た。

身支度を済ませ、Aちゃんのお母さんと手を繋いで外を出る。幼稚園と家は存外近いらしく、徒歩での通園だった。

「Aちゃんは朝ごはんは何が好き?」
「ご飯かな……?」
「あら、こないだはパンが好きって言ってたのに……」
「パンも好きかも!うん、Aパンも好き!」
ちょっとでも気を抜くとこれだから、誰にでも当てはまることや聞き手に回ることでなんとか誤魔化すことができた。よかった。

幼稚園に着いて、Aちゃんのお母さんの元から離れる。
いってらっしゃいと朝の陽射しのような笑顔を向けられて、心が温まる。
いきなり環境が変わったことで、気付かぬうちに消耗してしまっていたのかもしれない。

ちょっぴり出た涙を拭って、私は笑顔でいってきますと返した。

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作者名:もも | 作成日時:2022年1月27日 5時

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